即今、当所、自己 学び舎の詩
学び舎通信 129
自然の中で
わたしの祖父母は、和歌山県で山暮らしをしていました。山を開墾し、農薬や化学肥料を使わずに野菜を育てていました。山で育ったトマト、ピーマン、ジャガイモ、大根、ほうれん草、白菜、豆類など、どれをいただいてもおいしかったのを覚えています。
わたしは山登りが好きで、よく山を歩きます。山道を歩いていると、リスやウサギなど、山の生きものに出会うことがあります。山に棲むイノシシは、ずんぐりした体から想像できないくらい、身軽に行動します。大きな山には、シカが棲んでいます。見事な跳躍で、目の前を横切ることがあります。
自然の中で生きる生きものたちは、たくましく美しい。野生の生きものたちは、雨に打たれ、風に吹かれ、敵から身を守り、食物を探し求めながら生きています。厳しい自然の中での生活が、美しい姿をつくるのでしょう。
自然の中で生きる植物も強い。山の植物は、庭の草花のように人に世話をされることはありません。水や肥料を与えられなくても、丈夫に生長します。
自然の中で生きるものたちは、自分自身の力で生きています。ほんとうに生きているのは、自然の中で生きるものたちではないかと思うことがあります。人間は、もっと自分の力で生きるといいと思います。
自分で考えて行動できる力
「勉強はできるけど仕事はできない」と言われる社会人が増えているそうです。「大学の新卒者を10人採用して、使いものになるのはたったひとり」だと言うのです。最近の若者の傾向として、「指示されないと動けない」、「指示をされてもやり方を教えてもらわないとできない」、「分からないことは考えずすぐ答えを聞こうとする」などが挙げられるそうです。
しかし、これは若者が悪いのではなく、それまで受けてきた教育が悪いのです。多くの塾では、「これをやっといたら点が取れるよ」というような、その場限りの学習法を教えられます。そういう勉強の仕方では、そのときだけで終わりになり、あとには何も残りません。生徒たちは、塾の先生の言いなりになって勉強するだけで、自分でいろいろ考えて良い勉強方法を見つけようという努力はしていません。だから、社会人になって「自分で考えて動け」と言われると、戸惑ってしまうのです。
社会に出る前に、自分で考えて行動できる力を身につけておいたほうがいい。自分で考えて学ぶ力、自分で考えて行動できる力を身につけられる勉強の仕方を、わたしはみなさんに伝えています。「自分を救えるのは自分だけ」と思い、努力を怠らず、自分で学び、自分で心を鍛え、自分で答えを見つける、ということを心掛けておくといいです。
どんなに小さな変化でも、その積み重ねが大きな変化をもたらします。少しずつでも自分を良い方向へ高めることで、時間が経てば、目に見える変化となって現れます。
同じことを繰り返し一生懸命する
学び舎を卒業した人たちは、高校に入学すると自分ひとりで勉強を始めます。自分で学習計画を立て、実行していく力が身についているからです。大学入試の受験勉強も自分ひとりでしています。
この力は、同じことを繰り返し一生懸命することで、身につけることができます。
戦国時代に宮本武蔵という剣豪がいました。武蔵は、様ざまな武術の名人と60回以上戦って、一度も負けたことがなかったと伝えられています。
宮本武蔵は、毎日一万回刀を振る稽古をしていました。稽古を続けていると心が整って、技術を習わなくても相手の攻撃を撥ねられるようになりました。技を磨こうと思ったら、特別強くなる必要もないし、他人のまねをする必要もありません。ただ一生懸命練習すればいいのです。
武蔵のした練習法は、素振りの稽古です。素振りは武術の基本稽古です。武蔵は、基本練習を一生懸命して、体が自然に動くようになったのです。「相手がこう打ってきたら、こうよけて、こうする」と頭の中でシミュレーションをしても刀を構えて瞬間的に行動できなければ強くなれないし、相手にすぐやられてしまいます。しかし、毎日訓練していれば、相手の動きもわかるし、相手の隙もわかるようになります。
勉強も基本が大切です。「勉強がわからない」と言う人は、基本を徹底して練習していません。1回だけして「しました」では、駄目です。何度も繰り返し練習して、体に染み込ませるのです。
トレーニングで脳の密度を上げる
勉強はトレーニングです。勉強することで脳の密度を上げることができます。脳にある程度無理をさせると、脳の能力を上げることができます。
勉強量は一日何時間するかではなく、解いた問題の数が基準になります。時間を圧縮・短縮していく訓練をすると、脳の密度が上がります。つまり、時間当たりの情報処理を多くする訓練をするのです。勉強するときは、1時間でどれだけたくさんの問題を解くことができるかということを考えながら進めるといいです。
学習能力は、勉強を徹底的にすることで上がっていきます。そうして、脳を一生懸命使って回転数の速い、よく動く脳にしていきます。今は勉強によって、そういう脳をつくる時期なのです。
勉強の基本は、とにかく問題を解くことです。どれだけ勉強ができるようになるかは、解いた問題の量で決まります。できなかった問題は、しるしをつけておいて、できるようになるまで何度でもします。
- できる問題とできない問題を分ける。
- できなかった問題の解答を見て、解き方を理解して記憶する。理解できないときは先生に聞く。
- できない問題ができるようになるまで繰り返しする。
勉強というのは、なんとなくわかっているだけでは駄目なのです。絶対間違えないところまで確実にできることが必要です。トレーニングは、人に言われてするのと、自分から進んでするのとでは、効果が違います。自分で「やる」と決めてするのです。
即今、当所、自己
即今はたった今、当所は自分がいるその場所、自己は自分自身、という意味です。
今やらなければ、いつやるときがくる、今しかできないではないか。ここでやらなければ、いったいどこでやる、ここでしかできないではないか。自分がやらなければ、誰がやる。自分しかできないではないか。
「生きる」ということは、自分が、今、置かれている場所や状況の中で、やるべきことを、一生懸命にやる、ということです。大切なのは、生きている一瞬一瞬です。自分のしてしまったことがまずかったことに気づいて、しなければよかったと残念に思ったり、どうなるかもわからないうちから、先のことをあれこれ考えて心配したりするのは、よくありません。過去のことや将来のことを考えるのではなく、今やるべきことをやるのです。
心の持ち方がしっかりしていて、一生懸命していれば、何でもやり遂げることができます。苦しい状況は、自分を優れた人間にするよい機会です。苦境は、精神の強さや自分の力を試すチャンスです。
成功する人は、決して諦めません。
諦める人は、成功できません。
コツコツと励む人は、必ず成功します。
行き詰まっても、行き詰まらない。
困っても、困らない。
「できない」と思えば、できない。
「できる」と思うから、できる。
学び舎の詩
つらいことがおこると感謝するんです
これでまた強くなれると ありがとう
悲しいことがおこると感謝するんです
これで人の悲しみがよくわかると ありがとう
ピンチになると感謝するんです
これでもっと逞しくなれると ありがとう
つらいことも 悲しいことも ピンチものりこえて
生きることが人生だと 言いきかせるのです
自分自身に
そうするとふっと楽になって 楽しくなって
人生がとても光り輝いてくるんです
ピンチはチャンスだ 人生はドラマだ
人生がとてもすてきにすばらしく
よりいっそう光り輝きだすんです
ますます光り輝く人生を ありがとうの心と共に
夢は大きいほうがいい
そのためには 自分を大きくする
心は広いほうがいい
そのためには 自分を広くする
精神は優しいほうがいい
そのためには 自分を優しくする
未来は美しいほうがいい
そのためには 自分を美しくする
知恵は深いほうがいい
そのためには 自分を深くする
すべてのためには 学びが大切
大きく 広く 優しく 美しく
そして深くなるために