学び舎 新教室建設 余話 灘高受験時代の話
学び舎通信 100
学び舎通信100号達成
今回の『学び舎通信』は記念すべき100号となります。毎月書いていますので、創刊から8年4か月経ったことになります。
皆さんが今学んでいる教室を新築したのは、2003年6月です。そのときに『学び舎通信』の創刊号を書きました。熱心に読んでくれている保護者の方もいます。「すべてファイルに閉じています」とか「先月の『学び舎通信』は何度も繰り返し読みました」とか「子どもに朗読して聞かせています」と言ってくださる方もいます。
(塾を開いたのは、1996年6月。現在の新教室が完成するまで『穂高通信』という名前の塾だよりを書いていました。私は登山が好きで、特に穂高連峰が好きなので、『穂高通信』と名付けました)
学び舎 新教室建設 余話
吉田松陰の松下村塾と宮澤賢治の羅須地人協会の教室をモデルにして、教室の設計をしました。
大工さんには「昔の木造校舎のような教室にしてほしい」と頼みました。壁は杉、建具(戸・窓)は檜、床は栗、すべて無垢の木で建ててもらいました。
私も教室の建設に加わりました。塗装のすべてを私が担当しました。ドイツから取り寄せた、樹液から作った塗料を使いました。刷毛で塗るのではなく、柔らかいタオルに塗料を染み込ませ、木に塗料を吸わせていくように塗っていきます。そして乾いたタオルでゴシゴシこすって、余分な塗料をふきとります。現在の教室は、私の「汗の結晶」なのです。
清潔な環境で
高校の先生や教材会社の人たちが、学び舎を訪れることがあります。「いろんな塾をみてきましたが、こんな素敵な教室は初めてです」「木の香りがするいい教室ですね」「周りに木もあって素晴らしい環境ですね」「私もこんな教室で勉強してみたい」などと言ってくれます。
学び舎を始める前に、大手の塾や予備校で教えたことがあります。ビルの一室を教室にしていました。生徒たちは3人で1つの長テーブル、パイプ椅子に座っていました。清掃は業者まかせで、毎日、掃除していませんでした。教室の隅には、綿ゴミがありました。学習するのに良い環境とは言えません。
子どもたちに、清潔な環境で学習してもらいたい。学び舎の教室は、毎朝、妻が掃除します。机も一つ一つタオルで水拭きしています。
熱意のある子は必ず伸びる
学び舎を創設して、今年は16年目にあたります。公立学校で8年間、大手の塾・予備校で3年間、そして学び舎での15年間、合わせて26年間子どもたちを教えてきました。
どの子どもにも同じように教えているのですが、子どもたちが全員そろってぐんぐん力を伸ばしていったことはありません。
力を伸ばす子どもにはいくつかの共通点があります。このことは以前に何回か『学び舎通信』に書きましたし、塾案内にも書いています。その中で一番重要な共通点は、「熱意がある」ということです。
熱意とは、意気ごみのことです。「勉強しよう」と張り切っている気持ちのことです。
熱意があれば、才能や習った知識がぐんぐん生きてきます。熱意さえあれば、どうすればいいか、こうすればいいかということを、自分で考えつきます。
熱意のある子どもは、人から言われなくても自分で考えてパッパッと行動します。例えば宿題。毎回、宿題を出します。それをきちんとしてくるのは、普通の人。「できていません」「忘れました」というのは、まだまだ頑張らないといけない人。宿題をきちんとして、他に自分で考えて勉強している人は、熱意のある人なのです。
何よりもまず、自分自身が「こうなりたい」と強く願うことが大切です。そして勉強することです。
熱意は、磁石のように人を引きつけ動かします。子どもに熱意があれば、その姿を見て「この子をなんとかしてやりたい」「こんなに頑張っているこの子の夢を実現させてやりたい」という気持ちが教師に生まれます。
頑張る子どもは、「やるべきことをすぐする」子どもです。「後で」とは言わずに「今、頑張る」のです。
遊びやゲームは今やって、「宿題は後でやる」という子どもがいます。先にゲームをすると、疲れて眠くなって「あっ、宿題だ」と思っても、もうできないことにその子どもは気づきません。今やるべきことを後回しにするのは、「怠け」の気持ちがあるのです。
二学期へ向けて
こんにちは、高1のHです。
まだ、空には積乱雲(入道雲)をよく見かけますが、虫の声(エンマコオロギ・カネタタキなど)を聞いていると秋の訪れを感じます。
この夏休みはどうでしたか?
充実していましたか?
中学3年生は受験も近づいてきましたので(あと約6ヶ月)、気を緩めることなく頑張っていこう。
さてさて、二学期も始まり皆さんは新たな意欲にみなぎっていることでしょう。この意欲は大切に持ち続けてくださいね。ここで、また勉強の話になってしまいますが、少々ご辛抱ください。後半は僕の中学・受験生時代の話になりますので。
成績をあげるには?
ところで、皆さんは、「何時間勉強すればいいんだ」などと考えたことはありませんか。あるいは、「何時間も勉強しているのにどうして成績が上がらないんだ」と思ったこともあるでしょう。
普通に考えると勉強時間を増やせば増やすほど成績は上がるはずです。ところが、そうしても成績が上がらないということは、何かほかのところに原因がありそうです。いったい何が原因なのでしょうか。
僕の経験からすると、成績を上げるためには、もちろん時間も大切なのですが、一番大事なのは“質”、次に“量”である、ということが言えそうです。このことはまず、勉強をやってみるとすぐにわかるはずです。紙面の都合上、詳しいことはまたいつか書こうと思っています。
中学・受験生時代の話
いよいよ、僕(H)の中学生時代のお話が始まります。良かったことも悪かったことも赤裸裸(ありのまま)に書いてみたので、よかったら読んでください。それでは、どうぞ。
中学生時代
中学一年生
僕は、智辯学園和歌山中学校という私立中高一貫校に入学した。自宅から電車で1時間半~2時間のところだ。
和歌山市行きなので電車はすいており、7時に乗っても十分に座れる。そして、JR紀勢本線(本数が非常に少ない)に2回乗り換えて、黒江という駅で降り、20分ほど歩くと智辯に着く。
僕が入った年(平成20年)から、併設された小学校からの内部進学者があらわれた。
小学受験(いわゆる‘お受験’である)で小学校から上がってきた生徒は、A,B組。中学受験で入ってきた生徒(僕もそうである)は、C,D,E組に振り分けられた。ちなみに、僕はE組だった。人数は、各クラス50名だった(B組はもう少し少なかった)。E組の担任はM先生だった。
智辯は宗教と関係があり、生徒も先生も左手に数珠をつけて登校し、毎朝、授業が始まる前にお経を唱えなければならない。だが、これも慣れてくると別に不思議だとは思わなくなった。
学校の雰囲気はというと、みんな、緊張していて、静かだった。ところが、1ヶ月ほど経つと、学校生活に慣れてきたので状況は、一転した。
最初の中間テストは、5月末にあった。僕の成績は、英語以外はまずまずの出来だったが、英語の点数には大変驚いた。
周りは、90点前後が多かったのに、自分は70点後半だった。もちろん、学年の平均点からは、程遠い点数だった。続く期末テストも事情は変わらない。
英語は日本語と文の構造がまったく違うため、当時の僕にとっては大変理解しがたいものだった。
それにもかかわらず、短い夏休み(3週間弱)には、英語の宿題が山というほどどっさりと出された。英作文だけでも数百問あった。僕は、それを3回以上解いた。5、6冊のノートに英語を、びっしりと書き込んだ。こうして中学1年の夏休みは、英語の克服に努めた。
そして迎えた実力テストでは、英語の成績は90点後半をとることができた。この後も、順調に高得点が続いた。そして、ついには、学年で1番を取ることができたのである。
ところで、ほかの教科はというと、数学(代数・幾何)と理科(Ⅰ・Ⅱ)はとても好きだったので、成績も良く、社会(地理)は暗記だけなので覚えることを覚えてしまえば、それでよかった。
授業中も先生の言葉を一言一句聞き漏らさないように努め、単語帳もこまめに作り、‘まとめノート’までも作成した。
その甲斐があったのか、5教科総合点も徐々に上がり、秋には、学年でトップになってしまった。その後も特に大きな変化はなく、順調に3学期を過ごした。
<次回へ続く>