努力を楽しむ 本を読む ぐっすり眠る
学び舎通信 171
本を読む
私は携帯電話を持っていませんが、多くの人は、メールやブログやSNSやLINEでのやり取りが当たり前のようになっています。それに熱中し過ぎて、短時間で短い言葉を繰り返し、限られた言葉だけを使っていれば、高度な思考ができなくなります。
この短絡的な流れを食い止めるには、良い本を読んで、複雑な思考を知ることが必要です。まともな本を読み、豊かな言葉の世界を知ることに時間をかけると、考え方が良い方向に変わります。
読書に関する調査で、家にある本の数が多ければ多いほど子どもの学力が向上するという報告があります。読書好きの子どもたちは、そうでない子どもたちよりも、語彙が豊富で学業成績が優れています。
読書量が多く、定期的に図書館に行き、新聞を読んでいる子どもたちの学力は、ゲームやテレビやスマホの画面ばかり見ている子どもたちよりもはるかに勝っています。本を読むことで、読解力・思考力・表現力・情報の吸収力が養われ、それが国語の力だけでなく算数や数学の力を向上させるからです。
成績は競い合うものではありません。成績を良くするために、本を読むというのは本末転倒です。しかし、普段の生活で良い本を読むことが、頭や心の働きを良くすることがはっきりしています。
ぐっすり眠る
大手塾に通っている子どもたちは、大量の宿題をするために真夜中まで起きています。しかし、勉強とは言えない強制的な作業をいくらしても、学力は身につかず、頭の働きは良くなりません。
教育学を学んでいない塾の講師は、ただマニュアル通りに子どもたちに多くの宿題を出しているだけです。成長期における子どもの精神的身体的発達を考えず、子どもたちに無駄な努力を押し付けているのです。睡眠時間を削って勉強しても、学力は向上しません。むしろ脳や心に悪影響を及ぼします。
中学生は毎日7~8時間の睡眠が必要です。充分な睡眠は、重要事項を理解して整理し記憶する能力を、10~30%向上させます。ゲームやテレビやスマホに夢中になって夜更かししている子どもは、自分で自分の頭の働きを悪くしているようなものです。
テスト前になると、睡眠時間を短くして勉強する人は、テストが終わると覚えたことをすぐ忘れてしまいます。しかし、毎日きちんと勉強している人は、睡眠時間を減らしません。理解したことが頭に染み込んでいるので、すぐ忘れることもありません。
テストは生徒同士が優劣を競い合うものではありません。テストは勉強したことの理解と記憶を深めるためのものです。学び舎の確認テストをして、間違えた問題をもう一度解き直し、できるようになった子どもたちの学力は伸びています。間違えてつまずいた子どもは、そこで考え直し、復習をするので、理解や記憶が深まるのです。学力を伸ばす秘訣は、毎日コツコツ勉強して、ぐっすり眠ることです。
努力を楽しむ
勉強を楽しんでいる子どもは、日常のふとしたできごとをすべて勉強と結びつけて考えて、頭を働かせています。頭が良いというのは、日常の頭の働かせ方が良いということです。勉強を楽しんでいる子どもは、努力を辛いとか面倒だとかと感じることなく、何時間でも勉強に没頭することができます。
成績の良い人は、学び舎の良質なテキストを何度も繰り返し練習しています。そうすることで学習の量を増やし、考え方や解き方を身につけています。一方、何種類もの問題集をしている人は、対象を絞り込めず、努力している割に成績が伸びていません。
文章を読んで理解して記憶するときは、電子書籍よりも紙の本のほうが効果的です。パソコンや電子機器は便利な道具ですが、パソコンなどに頼り過ぎると、脳を働かせないことにつながります。
「努力によって能力は伸びる」という脳の成長過程を成長思考と言います。解法テクニックだけを教えられた子どもたちよりも、成長思考を教えられた子どもたちのほうが、成績が向上したという研究報告があります。解法テクニックだけを教えられた子どもたちは、問題の本質を理解せずテクニックに頼って、機械的に練習して深く考えずに勉強します。しかし、成長思考を教えられた子どもたちは、努力の大切さを知って、自ら進んで勉強に取り組むようになったため、成績が向上したと考えられます。
失敗してもへこたれないで、努力を楽しむことで、自分の能力や人生は良く変えられます。「やれば必ずできる」ということがきっとわかります。