自立心 探究心 自律心
学び舎通信 162
自立心
皆さんが学び舎で身につけようとしているのは、自学自習力です。この力を修得するには、自立心が必要です。自立とは、「他の人の助けや支配を受けずに、自分の力でやっていくこと」です。
自立心の強弱は、自分の人生が一体誰のものであるのかという自覚の度合によります。苦しいことがあっても挫けず、自分以外を頼みにしないという強い心を持ち続けていれば、困難を乗り越えられます。
自学自習力の修得を登山に譬えると、皆さんの目指す頂は、遥か雲の上に高く聳えています。その山の頂点に立つためには、険しい岩壁を攀じ登る覚悟が必要です。一段一段上昇し続ければ山頂に到達できるのですが、心構えが充分にできていなければ、途中で断念してしまいます。
大きな集団に寄りかかって、「ただ言われるままに勉強すればいい」というような横着で、甘ったれた考えを持っている子どもは、他律的な勉強を強いられ、自立心を奪われます。そういう子どもは、他人に管理され指示されなければ行動できなくなり、他人に操られて動く人間になってしまいます。
皆さんは、自らの意志で自分を高めるために行動できる強い人間を目指すのです。そのための力が体内に具わっています。私たちは自分の考えで行動し、充実した人生を生きるために、生まれてきたのです。
自律心
何をやるべきか。困難な出来事と闘っていくために、何が必要なのか。それを自分で考えるのです。他人から知識を詰め込まれるのではなく、本を読み、人の話に耳を傾け、さまざまな体験を積んで、自分自身で考え、理解していくのです。知識や体験が豊富であればあるほど、いろいろな考えが持てます。
自己管理能力があり、自律した生活をしている人だけが、自ら挑もうとする困難な闘いに勝つことができます。自律とは、「自分のわがままを押さえ、自分で立てた決まりに従って、自分のことは自分でやっていくこと」です。
現代の大人や子どもの多くは、文明の進歩によって、心身ともに甘やかされています。スマホで連絡を取り合ったり、ゲームをしたり、ショッピングセンターをぶらついたり、ゲームセンターで遊んだりすることで、果たして心身が鍛えられるのでしょうか。
1970年代の私の郷里の子どもたちは、家の仕事を手伝い、野や山や川を駆け回っていました。自然の中で体を動かして働いたり、体をぶつけ合って遊んだりすることで、心や身体が逞しく鍛えられました。
仕事をすることと遊ぶことは、ありったけの想像力や創造力を駆使することでした。頭と身体を使って、完成度の高いものを作ることに喜びを感じました。
現代の殆どの人は、自律した生活とは程遠い生活をしているせいで、苦難を切り抜ける力を失いつつあります。しかし、自律すれば私たちの体の内に秘められた偉大な力を引き出せます。私たちは心と体と頭を鍛えてよく生きるために、生まれてきたのです。
探究心
学校の成績が良くても、実社会で活躍できない人がいます。学業成績が良くなくても、現実の社会において自力で考え問題を解決していける人がいます。
皆さんの目標は、学業優秀で実際の社会でも能力を発揮できる人になることです。そのために、体の奥底にある力を、自分自身の力で引き出すのです。
「教育する」を英語でeducateと言いますが、この言葉の原義は、「才能を引き出す」です。これからの時代を生き抜いていくみなさんは、自分で自分自身を教育し、鍛え上げていくという強い心組みを持たなければなりません。これを完遂するには時間がかかります。しかし、途中で諦めてはいけません。
やるべきことをきちんとやっていれば、中学校の定期テストの5教科の合計点は450点を超えます。勉強は苦手だと言う人も、きちんとやりさえすれば、400点以上取れます。自分から進んで勉強し、考えても分からないところがあれば、理解して習得するために、積極的に質問します。これを続けるのです。
探究心が強い人は、勉強でも仕事でもいい加減なことはしません。やるべきことを徹底的にします。それゆえ、学業でも実社会でも目標を達成することができます。探究とは、「物事の本質を研究し、見究めようとすること」です。目標に向かって全力でぶつかろうと燃え立つような心を持った、情熱のある人が、目指していることを成し遂げられます。 自立心・自律心・探究心が、学ぶ力を向上させるためのstep5です。生き方の根幹となるこの三つの心を会得した人は、力強く成長します。