学び舎20年 孤高への道
学び舎通信 151
自立への道
他の人の助けを借りたり支配されたりしないで自分の力でやっていくことを、自立と言います。
本当の教育とは、自立に向けて子どもの心を鍛え、強い人間を育むことです。そのために中学校を卒業するまでに、自学自習力をつけておく必要があります。子どもに自学自習力を身につけさせるには、教師自らが自立していなければなりません。親や教師が子どもに示す生き方として最も大切なことは、強い意志をもって自らが自立した人間に向かって邁進しているということです。
自立するには、自分自身の判断で状況を把握し、行動できる力が必要です。肝心なことを他人任せにせず、いかなる誘惑にも負けず、いかなる脅しにも屈しないで、自分の信念を最後まで貫き通せる人が真に自立した人間と呼べるのです。
自立の一番基礎となるのは、自己管理能力です。まず体の管理してください。だらしない生活をしていて自分の体を正常に保っておくことができないような人は、自立することはできません。自立へのはじめの一歩は、自分自身を管理することです。
自分を頼りにして生きることほど痛快なことはありません。また、頼れるような自分に改造してゆくことほど面白いことはありません。
孤高への道
ただ一人世俗とかけ離れて高い理想を抱いていることを、孤高と言います。
歴史を振り返ってみると、偉大な発明や発見をもたらした人間のほとんどが一匹狼的なアウトサイダーであるという事実がわかります。33歳までの社会経験で、「集団や群居を好む人はその才能が二流以下であるという証である。自信の欠如を人間的な繋がりで補い、保身に回ろうとするのは、愚劣な行為である」ということがわかりました。
自分を本当に救えるのは自分自身であって、決して他の誰かではありません。自分を救いたいと心底願う気持ちがあるのなら、誰かに助けを求めようとはしないでしょう。自分以外の誰かにすがろうとする人は、自分を頼りない者、弱い者と決めつけているのだと思います。自分を救う力は、誰にでも具わっています。その力を出すことで自分を救えます。
教諭の職を辞し、企業を去り、べたべたした付き合いを避け、独りで20年間行動してきたなかから、「他者の力を当てにせず、ありとあらゆる悪条件と闘うことが、自尊自立の精神を育てる。個人的な責任の重さに耐えきれなくなったり、底無しの孤独の圧力に屈してしまったりすれば、昨日まであった孤高への道が今日は消えている。迷った挙句に自分よりも力のありそうな人にすがりつこうとしたり、組織や仲間の力を頼みにしようと考えたりしたら、道は閉ざされてしまう。四苦八苦しながら、紆余曲折をたどりながら、その高みまで到達することにこそ生きる意味がある」ということがわかりました。
学び舎20年
企業の成長のために子どもを利用する進学塾の無茶苦茶なやり方や組織に安住していたいがために自分の能力のなさを巧みな弁舌でごまかす講師たちを目の当たりに見たとき、「これは教育じゃない。目指すものが違う」と私は心の中で叫びました。
巨大なシステムの中にいる講師たちは、マニュアル通りに、資本家の指示に忠実に動きます。会議の議題は勢力範囲拡大のための経営戦略、講師室では下世話な趣味話で教育の話題は皆無です。「こんな連中と教育の仕事はできない」と思いました。また、公文式のように安易な方法でビジネスとして塾を経営する人もいますが、そういう塾の教育は荒れています。無責任にプリントを大量に与え、子どもをできるけれどわかっていない状態にしています。
五月の蠅のようにDMや電話で「私たちと手を組みませんか」という企業からの誘いがありますが、悉く黙殺しています。教育に対する情熱があるならば、いかなる組織への入会の勧誘もきっぱりと拒否しなければなりません。教育の基本は愛です。愛は売り物ではありません。だから、ビジネスライクの塾の講師たちは歪んだ教育しかできないのです。
来年、学び舎は20周年を迎えます。
教育への情熱をますます募らせています。自分自身に具わる能力のすべてを自由自在に使い、その力を存分に発揮しながら、限りある生涯を精いっぱい送ることができる子どもを育てていきます。
追記
2016年4月より、全学年の授業料を引き下げ、月曜日から金曜日までの終了時刻を午後9時40分に変更します