東大生が幼少期の夏休みの過ごし方を振り返った
今しかできないこと
どのような夏休みを過ごしたいですかと聞かれると、「充実」とか「有意義」といった言葉が出てくると思います。
それでは、充実ってどういうことですか?
みなさんはどのように考えていますか?
私は「充実」あるいは「有意義」を「その時しか出来ない価値ある事をすること、それによって自分の力がさらに上達すること」だと考えています。もちろん、言葉の意味なんて共通したものではないのですから、自分なりの定義でいいのです。辞書通りである必要はありません。
例えば、夏休みであればまとまった長い休みが取れますね。だったら、長い休みにしか出来ないことをすればよいのです。なにか大きな作品を仕上げる。(いまは難しいでしょうが)どこか辺境の地を旅する…。それらは間違いなく「充実して有意義なこと」であるはずです。こうして身についた力は自分を支えてくれます。
わたしの夏休み
自然が大好きだった私は、主に野外で時を過ごしました。
毎年一回、登山とキャンプのために信州に行くのが楽しみでした。奈良県南部の大峰山脈にもよく行きました。どちらも息を呑むような星空が広がっています。自宅周辺では見つからない虫を捕れるのも魅力でした。車に荷物を詰め込んで未明に出発していたのをよく憶えています。
週末の天気がどちらか怪しければ紀ノ川や吉野川の支流で釣りをしました。カジカガエルはなんと美しい鳴き声をしているのでしょう。和歌山県中部の海岸で過ごすことも多かったです。図鑑に載っている生き物が実際に生きている姿は心に残りました。
週末にどこかに出かけるたびに居間や玄関に飼育ケースが増えていくのが楽しみでした。ハゼはメダカと相性が悪く喧嘩ばかりしてしまいます。アカハライモリは水の交換を怠ると臭気を放ってしまいました。
その他には、野菜も育てていました。プランターに土を入れて5月ごろに苗を植えておくと、7月は収穫の真っ盛りです。ゴーヤ、ピーマン、ミニトマト、インゲンマメなどは失敗することもなくたくさん収穫できました。
受験生になったときは朝から晩までひたすら勉強していました。これほど長時間のめり込んでいると勉強自体も楽しくなってくるものです。私の場合、今までの復習と発展的な内容が中心でした。
夏休みの平日
そもそもすべてが休みなのですから平日という言い方も奇妙ですが、私の場合、平日はきちんと学習を進めていました。
前月号でも申し上げたとおり、学校の宿題はすべて終わらせているので、おもに予習を進めます。私の学習は普段から予習に重点を置いていたので、夏休みに入ったからと言って特別なことはしていませんでした。復習は学校の授業でできるので、とにかく先へ先へと進んでいました。いたずらに勉強時間を増やすことはしませんでしたが、どの教科もまんべんなく学習していました。
本もたくさん読みました。ただ、あまりにも暑いので早朝など読書できる時間は限られていたように思います。近年はやけに暑く感じられますが気のせいでしょうか。
昼間はもっぱら飼育している虫や魚の世話をしたり、外に出て虫を捕まえたりしていました。私にとって夏休みの一番の楽しみと言えば生き物の世話だったように思います。
計画と実行
長い休みを規律に縛られずに過ごせるのは何と幸せなのでしょう。
でも、だらだら過ごすのは決して充実しているとは言えません。自分で規律を決めてそれを実行する方が、かえってリズムの良い生活を送れます。
まずは、起床・就寝時間を決めましょう。
学校がなくても定まった時間に起きることで身体の調子が良くなります。充実させる秘訣はここにあります。
次に、学習計画を立てていきます。
計画といっても大雑把なものでよく、一日に問題集を何ページ進めるかといったことで十分だと思います。長期間、勉強しないでいると頭も鈍ってきますから、適度に運動させるというイメージで計画してください。学校の宿題は早めに終わらせた方がいいですよ。 ただ、私も受験生のときはどの日にどの部分をするかを細かく紙に書き出していき、それを厳守していました。とりわけ受験生は夏休みをいかにうまく使うかが大切です。苦手な分野や不安なところはすべて解決しておきましょう。加えて発展演習を積むことで自分のものにしていきましょう。
どのような計画を立てて実際にそれを実行できるかどうかで大きく差がつきますよ。