受験に立ち向かう心境
受験に立ち向かう心境
気づけば誰よりも多くの受験をしてきました。中学受験、高校受験、大学受験、大学院受験…と試験の連続です。入試のない年は数学オリンピックの時期と重なっていたので、年末年始と言えば気が張り詰めて机にしがみつくのが恒例でした。こんな私が受験に対して抱く思いを少し述べてみます。
まず、私の中での受験の立ち位置について。ひとことで言うと新たな世界の幕開けです。憧れの学校で理想の生活を送るための扉。それが入学試験でした。いつも気分が高揚していたのを覚えています。旅立ちの前夜のような…。眠い目をこすりながら、旅の準備に万全を尽くす。旅程を紙に書き出し、装備の点検を怠らず、最高の体調を整えるのです。これから大海原を冒険するのだ。そんな気分でした。
ずっと独りで勉強してきた私にとって、力を試す場面でもありました。自分の力で夢を切り拓く感覚がなんとも言えず快感を与えてくれました。受験が必要か不要かはさまざまな意見がありますが、必要な状態なら割り切って挑むしかありません。
受験エピソード
ここで私の受験エピソードを交えておきます。
中学受験の時はたくさんの学校を受けました。
全部で6校です。当時の私はチャレンジ精神に富んでいたのか、どれも自分が受けたいと言い出して挑戦しました。片道2時間以上かかるような学校を連日受けて体力的にもハードだったと記憶します。ずっと野原で虫を追いかけていた私にとって、大勢に混じって受ける試験は記念すべき舞台でもありました。いずれも期待の結果が得られたのは受験を楽しんだからに違いありません。
途中でどうしても行きたい学校を見つけてしまい、高校受験もしました。
独学での挑戦というテーマは変えることなく、勉強法の開発に勤しみました。脳科学の書籍を読み漁って全精力を注ぎ込みました。中学受験と異なり高校受験の際は志望校1校だけに願書を出しました。落ちたら高校には通わず自宅で勉強を続けるつもりでした。
大学受験は打って変わって苦しい日々が続きました。
入試を目前にして自分が何になりたいのか分からなくなってきたのです。多くの大学では学部ごとに試験が行われます。18歳という未熟な年齢にして人生の進路を決めなければならない。つまり人生を左右する重大な局面です。困ったことになりました。本を読めば読むほど、勉強すればするほど、特定の分野に進んで偏った人生を送ることに恐怖を感じました。生物の研究者になりたいと考えたり、医者になりたいと思ったり、登山家や冒険家に憧れたり、隠居して詩人になりたいと願ったり。はたまた何にもしたくないと考えたこともありました。全く面白味のない塗り絵みたいなセンター試験(共通テスト)を前にして、これでいいのか?と自問自答を繰り返していました。それでも試験を受けなければ大学に入ることもできず、大学に入らなければ人生の方針も立たなかったため、混沌とした気持ちを隠して試験に備えました。実際に受験を経験しないと分かりにくいかもしれませんが例えるならば、友達と出かける約束をしたのに、前日になってモチベーションがなくなる状態に似ています。
こうして大学受験を乗り越えました。
このあと大学院受験がありますが、こちらは興味のある専門分野が中心で、手際よく切り抜けました。次項より実践的なアドバイスを紹介していきます。
受験に向けた調整1 勉強面
ひたすら過去問を解いていきます。どのような問題が出されるのか。点数配分と時間配分を意識して戦略を練っていきます。ワシントン大学の研究(2017)によると「同じ時間勉強するとき、試験とよく似た問題(模試や過去問)を解くとそれ以外よりも高い学習効果が得られた」とのことです。入試直前期は新たな学習は中断して、以下の流れで行うと良いです。
- 過去問を解く
- ミスしやすい箇所を列挙→次回の演習で意識
- 苦手分野・弱点をノートにまとめる
- 苦手分野は参考書や演習書を用いて克服
- 次の過去問を解く
やるべきことはこれだけ。なんとなく勉強しても時間の無駄。能率的かつ戦略的な行動が必要です。
受験に向けた調整2 精神面
燃えるような情熱を持つこと。
意欲を維持すること。
これが健全な精神を保つ秘訣です。勉強よりも大事です。精神が弱ると集中力や理解力の低下が顕著に現れます。同時に体調も崩しやすくなります。受験は精神の闘いと言ってもいいくらいです。勉強の合間は体を動かして気分転換するのがおすすめです。