失敗は成功の良師なり

失敗は成功の良師なり(Failure teaches success.)

平成天皇の心臓手術を行った“神の手”の名医は、大学入試に3度失敗しました。3年浪人して、私立大学の医学部に入りました。大学を卒業して、小さな診療所で手術の腕を磨きました。母校の教授にはなりませんでしたが、世間はその実績を見逃しませんでした。別の医大に招かれて教授になりました。そして、天下無双の心臓外科医になったのです。

東京大学の名医たちは、天皇の手術をするときに、この名医に助けを求めました。もし“神の手”の名医が東大に合格していたら、“神の手”が生まれなかったかもしれません。「失敗は成功の基」というのではなく、「失敗なしに成功はない」のだと思います。

人間のすることで、始めから上手くできることはまずありません。「試行錯誤」という言葉がありますが、失敗を繰り返していると難しいことができるようになります。失敗は成功の前段階であることを思えば、失敗は少しも怖くありません。

人にはさまざまなネガティブの感情がありますが、否定的な気持ちに心を支配されていてはいけません。悲しみは力に、欲は慈しみに、怒りは知恵に、消極的の感情をより良い方向へ導くことで、積極的な生き方ができます。

何度失敗しても、誠意と人を信じる正しい性質と大きな努力で、成功することができます。

七転八起（しちてんはっき）

たった一度きりの貴重な人生です。

「わたくしとは何か」と自分に問いかけます。

何度も考え直し、多くの書物を読みあさっても、あれこれと人の考えを聞いてみても、「わたくし」の実体など明らかになりません。それでもやはり問い続け考え続けることに生きる意味があると思います。

生まれつき病弱とか、家庭の貧困とか、親の早死にとか、災難などいろいろな不幸は、子どもを鍛えるための天から与えられた困苦かもしれません。

その苦しみに打ちひしがれることもありますが、七転び八起きでこのマイナスを乗り越えます。そうすれば、あとはプラスの飛躍の機会が待っています。　

泣き言を言ったり、助けを求めて叫んだりしても、マイナスがプラスになることはありません。自分の力でマイナスを克服するのです。自分の力でマイナスをプラスに変えることができれば、プラスの中で生まれ育った者より大きく伸びることができます。

信念があれば、人間は強く生きられます。敗北者とは、自分の人生との闘いを諦めた人のことです。人間は強い生きものであり、多くの困難を乗り越えられます。悪いことは良いことを運んでくれます。

不可能なことを可能にするには、今の頑張りよりもっと大きな努力が必要です。諦めたら負けです。人生ではいろいろなことで転びます。愛で転び、仕事で転び、今考えている冒険でも転び、実現させようとしている夢でも転びます。しかし、何度失敗してもへこたれずに立ち上がり、一からやり直す力が人間にはあります。これが人生で一番大事です。　　　

自ら考える力

朝は頭がよく働きます。疲れていないということもありますが、寝ている間に雑念、雑想が消えてしまうのでしょう。たいていの人は、朝、目を覚ましたとき、気分爽快です。それは、頭の中がきれいに片付いているからです。前の晩眠りにつくときよりも、頭は整理されて、働きがよくなっています。

情報社会と言われるような刺激の多い環境で生活していると、どうしても頭に入ってくるものが多すぎて、知的なメタボリック症候群になります。一般に「頭の良い人は記憶力が良い」と考えられていますが、いくらか違うように思います。本当に頭の良い人は、不要なことを忘れて、頭の中をきれいに整理し、脳の働きを良くしています。そうして、よけいな知識や情報に妨げられることなく、ものごとを自由に考えることができています。

知識は増えているけれども、自分で考える力は少しも伸びない人がいます。知識の記憶力に優れた人ほど、思考力が弱く、知識偏重の人間になる傾向があります。優秀な学生はたいてい記憶力が良いです。それは良いのですが、知識を増やそうと暗記ばかりしていると、自分の頭で考えることが少なくなり、やがて考える力が弱くなります。大切なのは、知識ではなく、学ぶことを通じて身につける知恵です。 知識さえあれば、万事うまくいくと思っていると、自分の頭で考えようとしなくなります。大事な学力は、暗記学力よりも、自分で問いを出し、自分で考え、表現し、それが他の知識とどうつながっていくのかを考えられる学力なのです。