私が実践した子育て方法 子どもの脳を育てる

学び舎通信 145

目次

子どもの脳を育てる(1)

子どもを授かったのは、阪神大震災が起こった春でした。その翌年、泉南市に移り住んで学び舎を開きました。岩波講座の「現代の教育」(全13冊)などをテキストにして、教育学を勉強し直しました。それと同時に子育ての勉強もしました。朝から仕事の始まる夕方までずっと本を読んでいました。教育書・哲学書・文学・ルポルタージュなど、1年間に約180冊の割合で読書をしていました。

私が2階の和室で本を読んでいると、よちよち歩きの息子が両手両足を使って階段を攀じ登ってきます。私のとなりにちょこんと座って、座敷机に置いてある本の1冊をとります。まだ字を読むことはできません。しかし、いかにも「ぼくはおとうさんといっしょにほんをよんでいるんだ」というふうに、私がページをめくれば、息子も同じようにページをめくります。

「まなぶ」という言葉は「まねする」という意味の「まねぶ」から転じた言葉だと言われます。子どもは成長の過程で、親の姿を見て、親の真似をして、学んでいきます。「子どもが見習えるような行動をしなければいけないな」と思いました。

「よい行動をしたい」と思う人は、よいことをしている人を見て、見習うでしょう。

子どもの脳を育てる(2)

みなさんは「自分の脳をよく育てたい」と思っているでしょう。「脳をよく育てる」には「よい生活」をすることが一番いい方法です。「よい生活」をしているうちに、「ああ、これは雑だな」とか、「ここはおかしいな」とか気づくようになります。

脳は毎日の生活の中で育ちます。規則正しい生活習慣をしていると、脳はよく育ちます。

「勉強のやり方がわからない」とか「勉強のやる気がでない」という人の話を聞いていると、大抵ていねいな生活ができていません。夜遅くまで起きている、朝遅くまで寝ている、テレビを長時間見る、ゲームで長時間遊ぶ、携帯電話を長時間使う、ゲームセンターやショッピングセンターで遊ぶなどして、生活のリズムを崩しています。

「脳をよく育てよう」と思うのなら、乱れた生活習慣から規則正しい生活習慣に変える必要があります。「頭がよくなりたい」とか「テストでよい点数をとりたい」と思うなら、まず、「学びの土台」となる毎日の生活をていねいにすることです。早寝早起きをする、きちんとあいさつする、脱いだ服をたたむ、脱いだ靴を揃える、食べた食器を洗うなど、一つひとつの行動をていねいにしていれば心が整ってきます。心が整えば、学ぼうとする心が自然と芽生えてきます。「自分のことは自分でする習慣」をつけるのです。心をこめて、一つひとつの行動をしていれば、必ず良い方向に向かいます。

そして、静かな環境の中で過ごすということも、大切です。静けさは心を落ち着かせるからです。

子どもの脳を育てる(3)

息子は、灘高校を受験するときも東京大学を受験するときも、たったひとりで計画を立てて勉強しました。滑り止めも受けず、願書を出したのは、高校は「灘」、大学は「東大」だけでした。「学力の土台」になったのは、「規則正しい生活」と「創造的な遊び」と「登山」と「読書」だと思います。

毎日、決まった時間に寝て、決まった時間に起きていました。テレビは、小学生の時は1週間に2時間だけと決めて見ていました。中学生の時は全く見ていませんでした。私の家には、ゲーム機もカードゲームもありません。携帯電話を持ったのは、高校の合格発表が終わってからです。

竹トンボや竹馬や凧など、いろんな遊び道具を手づくりしました。作る過程で、ノコギリやカナヅチなどの木工道具を使いました。「より良いものを作るにはどうすればいいか」を考えながら、自分の手で工夫しながら作りました。

遊園地に連れて行ったことがありません。日曜日には山に登りました。山道で、鳥や動物や昆虫と出会い友達になりました。雨の日も風の日も、「よいしょ、よいしょ」と言いながら、小さな足で坂道を登りました。どれだけ山が高くとも、一歩一歩の積み重ねで、頂上に着けるのだと感じたと思います。  図書館によく通いました。文字が読めるようになってから、自分の読みたい本を何冊も借りました。買った本もたくさんあります。本棚を杉板で手づくりしました。合計7架の本棚を作って、2階の一部屋を「図書室」にしました。

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学び舎タイムズ編集部

教職歴37年。中学・高校教諭、予備校講師を経て、1996年6月に小さな個人塾を開塾しました。
「将来的に役立つ学力を身につけた子どもを育てたい」という想いから生まれた、こだわりの天然木造教室は保護者からも好評です。

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