ハイレベルの勉強をめざす人

学び舎通信 72

目次

飽きるほど暗記と基礎を繰り返そう

中学3年生のみなさんは毎日、受験勉強に精を出していますね。この1年間は、今までしてきた勉強を整理するのによい機会です。ここでしっかり勉強して、今までの知識をまとめておくといいです。一生懸命した勉強は、大人になっていろいろな勉強をするときの基礎になるからです。

受験勉強は、記憶力の集大成(多くのものを集めて一つのものにつくりあげること)ですから、基礎を繰り返し覚えるしかありません。ところが人間の記憶はそう簡単には定着しないものです。覚えたことは時間がたてば、忘れてしまいます。

では、どうしたらいいのでしょうか?

一度解いた同じ問題集を、何度も解くのです。解くというよりは、即答できるくらいまで、「もうこの問題集の内容は完全に頭に入っている」というくらいまで、同じ問題集をしつこく繰り返すのです。

中学1・2年生のみなさんや小学生のみなさんも勉強の仕方は同じです。身に付く(知識や技能などが自分のものになる。しっかりとおぼえる)まで、何度も繰り返し練習するのです。

毎日の生活の中で勉強する時間を決めて、その時間になれば、必ず机に向かうようにするのです。

受験勉強の仕方

受験勉強は覚える内容が膨大(数や量などがひじょうに大きいようす)です。どんな天才でも、ひと月やそこらで記憶できるものではありません。覚えられたとしても、すぐに忘れてしまうでしょう。時間をかけて、何度も何度も繰り返しするしかありません。

成績の良い人は、宿題を忘れたり、勉強道具(教科書・問題集・辞書・筆記用具など)を忘れたりしません。学び舎での小テストは満点かそれに近い点数をとっています。宿題をきっちりしたりテスト勉強をしっかりしたりすることで、少しずつ力を蓄えています。

つまり、日頃の小さな積み重ねを大切にしている人が、良い成績をとっているのです。

みんな「良い成績をとりたい」と思っているはずです。毎日の小さな積み重ねを大事にすれば、誰でも必ず良い成績がとれます。

ハイレベルの勉強をめざす人

こんな勉強をした人がいました。

勉強は常に先回りを心掛けていました。英語や数学は、高校1年生のときに高校3年間分の勉強を終わらせました。中学卒業から高校入学までの春休みの間に、英語の参考書2冊分をほぼ丸暗記したため、高校時代は、分からない単語に困ったという経験はほとんどありませんでした。高校での勉強の基本は繰り返すだけなのですから、非常に楽でした。

英語の勉強法は次の二つのことを徹底(行いや態度が、中途半端でなく、一つの考えでつらぬかれていること)してしました。

まず、暗唱で英語を頭の中に詰め込む。教科書の英文を何度も繰り返しブツブツ声に出して音読する

のです。暗唱できるくらい音読を続けるのです。  

二つ目は、分からない単語は必ず辞書を引く。語学力=単語力といっていいほど、多くの単語を暗記することは非常に大切です。そして、単語力を上げるには、辞書を引く習慣をつけることがやはり効果的です。分からない単語に出会ったら、必ず辞書を引くこと。そして、辞書で調べた単語は、「My単語帳」に書き込み、虱潰し(かたはしから、一つ一つもらさず処理すること)に暗記していくのです。この過程を繰り返すと、いつしか飛躍的にボキャブラリー(用語の数。語彙)が増えていきます。

自分でやる気を出す

誰だって浮き沈み(栄えたりおとろえたりすること)はあります。ときにはやる気をそがれることもあります。しかし、その時に、立ち向かっていこうとする力があるかどうか。これが、「できる人」と「できない人」の違いです。

「できる人」とは、気力を維持するだけの「自分を鼓舞(鼓を打って舞をまうことから、励まし元気づけること)する力」、「自分で自分をほめる力」が高いのです。自分で自分の気持ちを上手くコントロールしてやる気を高めることができるのです。

自分で自分をほめられるように、力を出すといいのです。力を出して一生懸命して「できた!」と思えたときは、気持ちいいですね。

努力できることが才能

勉強し続けるには「努力できる人間」になることが大前提(根本となる条件)です。勉強に近道はありません。こつこつ努力を続けることが王道です。

では、努力ができる人間とはどのような人間でしょうか。

わかりやすい手本となる人は、大リーグで活躍している鈴木一郎選手です。よく、イチローの偉業(ほかの人にはできない大事業)が話題に上ると、「彼は天才だから」と言う人がいますが、実際そうなのでしょうか?もちろん、イチロー選手は天賦(天からさずかったもの。生まれつきそなわっていること)の才(能力)に恵まれていたでしょう。しかし、それ以上にすごいのがイチロー選手の「努力ができる才能」です。

イチロー選手が野球を始めたのは、小学校3年生のときです。他の野球少年に比べると遅いほうです。 

しかし、それ以降は中学3年生に至るまで、毎日練習を欠かすことなく、お父さんと一緒にバッティングセンターに通い、練習したそうです。身体がだるい朝や、やる気がでない日も、行かない日はなかったといいます。恐らくこの時期に「努力する才能」が磨かれたのでしょう。イチロー選手は、のちにプロとなり首位打者を獲得(手に入れること)しても、自分の技術に満足することなく、ナイターの試合後もバッティング練習を重ねたことはよく知られています。

ヤンキースで活躍する松井秀喜選手も、お父さんが小さいときに松井選手に託した言葉「努力できることが才能である」が座右の銘(いつも心にとめて戒めとすることば)だと語る通り、怪我や病気にもくじけず、不断(たえまなく続くこと)の努力を重ねています。

両選手に共通するのは、頂点を極めても、名誉を得ても、「自分にはまだこれが足りない」という問題意識があること。そして、「今、自分は何をすべきか」と考えて、それを実行に移す努力の能力があることです。

こうした能力こそ、まさに才能です。そして、この才能は、イチロー選手や松井選手だけではなく、みなさんも磨くことができるのです。

「自分はできる!」

努力を支えるものとして、志(こうしようと心にきめていること)をもつことと、夢や希望をもつことが大切です。

そして、「自分は必ずできるはず!」と信じること、そして、諦めないことも必要です。

努力するにはある程度、楽観的(すべて物事がうまくゆくと考えること。成り行きに明るい見通しをもつこと)であることも大事です。そうでない限り、頑張る勇気が湧かないからです。たとえ、脳天気(常識はずれで軽薄なようす)と言われても、「自分はできる!」と思い込むことは非常に重要です。

相手を励ますのに、日本語で「がんばれ!」と言いますが、英語では“You can do it!”と言います。つまり、「あなたならできる!」と言って人を励ますのです。励まされた人はそれに、”Yes, I can.”「私ならできる」と答えます。

「自分はできる!」という思い込むパワーは、やる気を奮い立たせます。たゆまぬ努力を続けるのは、まずは「自分ならできる!」と信じることです。

よい生活習慣で頭の働きがよくなる

勉強ができるようになりたい、どんな勉強の方法をすればできるようになるのだろう、と思っている人は多いはずです。でもね、勉強を始める前に、することがあるのですよ。

それは自分の脳を育てることです。脳は毎日の生活習慣によって成長しています。「生活習慣そのものが脳である」と言ってもいいくらいです。だらしない(物事をしっかりとやらないで、しまりがない)生活をしていれば脳もだらしなくなるはずです。毎日の生活を生き生き(活気にあふれているようす)させれば、頭の働きも生き生きしてくると思います。

15歳のアンネ・フランクはこう記しています。

ごく正直に言うと、「自分は弱い性格だ」と言いながら、それで平然としていられるのって、わたしにはとても考えられません。それがわかってるんなら、なぜそれと闘おうとしないんでしょう?なぜその性格を鍛えなおそうとしないんでしょう?

答えはこうです。
「このままでいるほうがずっと楽だから」この答えには、少々失望せざるをえません。楽だから?ということは、怠惰な虚偽に満ちた生涯のほうが、楽な生きかただとでもいうんでしょうか。まさか、そんなことがあるはずがありません。人間がそんなにもたやすく誘惑されるなんて、安易さに……

文春文庫『アンネの日記』より

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学び舎タイムズ編集部

教職歴37年。中学・高校教諭、予備校講師を経て、1996年6月に小さな個人塾を開塾しました。
「将来的に役立つ学力を身につけた子どもを育てたい」という想いから生まれた、こだわりの天然木造教室は保護者からも好評です。

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