学ぶ力を磨く 450点以上の勉強法 英語の学び方

学び舎通信 74

目次

学ぶ力を磨く

学び舎を開いて今年で14年目になります。

塾を始めるまで中学校、高校、予備校、大手塾で英語や数学を教えていました。

小学生の頃から学び舎で学び始めて、毎日の学習習慣を身につけた子どもたちは、中学校での成績もよく、トップ校に進学しています。高校でも上位の成績を収め、国立大学に合格しています。そういう子どもたちは日々の勉強を一生懸命することで、「学ぶ力」をより強くしています。

身体の中にある「学ぶ力」を出せている子どもは、学校での成績がいいのです。

「学ぶ力」はすべての子どもに備わっています。今まで何千人もの子どもたちを教えてきましたが、「学ぶ力」を持っていない子どもに出会ったことがありません。みんな「よくなりたい」と思っているのですが、「学ぶ力」を十分発揮できている子どもは、ほんのわずかです。

「宝の持ち腐れ」ということわざがあります。

素晴らしい価値のあるものを持ちながらそれを使わず、また、優れた能力や手腕(物事を行うすぐれたうでまえ)がありながら活用しないことのたとえです。

みなさんは、「学ぶ力」という素晴らしい「宝」を持っているのです。その「宝」を大事にしまっておいてはいけません。「学ぶ力」という「宝」は、使っていないと腐ったり錆びたりします。

「学ぶ力」は、使えば使うほど磨かれて光り輝いてくるのです。

必要なのは心構え

学ぶには心構え(物事に対処する前もっての心の用意)が必要です。

「学ぶ力」を十分発揮できていない人は、「学ぶ力」を持っていないのではなく、学ぶことを安易(努力しなくてもたやすくできるようす)に考えてしまうことが原因なのです。

1匹のアリが高さ10メートルの壁を乗り越えたいと思いました。ところが、なぜかアリは壁の高さを1メートルと見積もりを誤ってしまいました。壁を登っていったアリは、やがて自分が思っている目標の高さ(1メートル)にたどり着きました。ところがまだまだ壁は続いています。アリはそこで絶望し、登るのをあきらめて引き返してしまいました。アリは10メートルの壁を登れる力は持っているのです。壁を1メートル登るのではなく、最初から10メートル登るという覚悟(困難ではあっても、絶対に実行しようと、心を決めること)さえあれば、登り続けられたでしょう。

ちょうどこのアリと同じように、力を発揮できていない人は、「学ぶ力」がないのではなく、学ぶことを安易に考えて、少しの努力でできると思って、少しの努力しかしていないのです。時間をかけて、練習を積み重ねる努力さえすれば、できるのです。

簡素な生活で意欲を高める

北海道の日高地方に様似町という町があります。日高本線の終着駅にある人口約7,000人の小さな町です。今から20年ほど前に、私はその町の中学校で英語を教えていました。

家庭訪問で子どもたちの部屋を見せてもらったことがあります。勉強で使う本や読んだ本を書棚に整理している部屋、ゲームやマンガなどおよそ(まったく)勉強に関係のない遊び道具をたくさん置いてある部屋。子どもたちの部屋の状態が、そのまま学校の成績に結びついているように思えました。部屋を見ることが、子どもの頭の中を見るように感じました。 

家庭での過ごし方を伺いますと、規則正しい生活習慣ができている子どもは、意欲的に勉強に取り組めているということもわかりました。不規則な生活をしている子どもたちは、「やる気が出ない」「勉強の仕方がわからない」などと言っていました。

フランスの思想家ルソーは、『エミール』の中で、「子どもを不幸にするいちばん確実な方法はなにか、それをあなたがたは知っているだろうか。それはいつでもなんでも手に入れられるようにしてやることだ」と述べています。

モノをたくさん持っている子どもほど、心の働きが悪くなっているように思いました。モノに心を奪われてしまって、心の平衡(つり合いがとれていること。バランス)を保つのが困難になっているのでしょう。 

生活を簡素(簡単でかざりけのないこと)にして深く考えれば、するべきことがわかります。

「学力向上の条件」の実践

先月の「学び舎通信」に学力向上の条件を3つ書きました。

① 規則正しい生活
② 毎日の勉強
③ 安定した気持ち

このことで、子どもたちからいくつかの質問を受けました。

「先生、早寝早起きって何時までに起きたら早起きになるんですか?」

「7時までです。7時を過ぎて起きるようでは早起きとは言えません」

「毎日の勉強って、何時間すればいいんですか?」

「小学生は1時間以上。中学1・2年生は2時間以上。中学3年生は3時間以上です。これを毎日続けるのです」

「そしてね、もし、お家の人に『勉強しなさい』って言われたら、『そんなこと言われたら、勉強やる気なくすで』と言ってください。その代わり、言われる前に自分から進んで勉強しなければいけません」

3つの条件の中で一番大切なのが、安定した気持ちです。家庭の大人のいたわりのある言葉や態度で、子どもの気持ちは安らぎます。

「勉強しなさい」と言われて、「よーし、がんばって勉強するぞ」と言う子どもはいないと思います。「勉強しなさい」と言うよりも、テレビを消したり、遊び道具を遠ざけたりするほうがいいと思います。

450点以上取る方法とは

中学校の定期テストや実力テストで450点以上取る子どもたちの特徴は、次の3つです。

*遅刻や欠席をしない。
*宿題や勉強道具などの忘れ物をしない。
*集中して勉強する、小テストは満点かそれに近い点を取る。

実行するのにどれも簡単なことのように思えるのですが、実行できていない人もいます。

平生(ごくふつうに生活しているとき。ふだん)の心掛け(心のもち方。心がまえ)が大切なのですが、見えない心をコントロールするのは行動です。規則正しい生活を送り、ていねいな言葉遣いで話し、歩く姿勢や座る姿勢をきちんとすることで、しっかりした心を育てることができます。

言葉遣いや姿勢は普段の生活では小さなことに思われるかもしれません。しかし、小さなことに心を掛ける、気を配ることのできる人は、忘れ物をしたり、時間ぎりぎりに慌てて来たりはしないはずです。始まる5分前にはきちんと座って、勉強をしている人もいるのです。

テストの点数だけにこだわるのは良いことではありません。ていねいに生活していれば、必ずそれに応じて成績が変わってきます。

テストの点数を気にするより、「善く生きよう」と思って生活することです。夜更かしや朝寝坊、テレビや携帯電話やパソコンやゲームやマンガに夢中になること、人の悪口を言ったり、いじめたりすることは、「善く生きる」とは言えませんね。

英語の学び方

通訳ガイドの志緒野マリさんは、「学校英語はすばらしい」と言います。

「学校英語と語彙(単語の数。ボキャブラリー)の詰め込みだけで、通訳ガイド試験に合格し、プロに成長できたのだ。知人の中でも、若くしてプロになった人は皆、学校英語をしっかり活用した人だ。学校英語を悪者扱いにする人は、自分の努力不足を棚にあげて、責任転嫁(責任を他人になすりつけること)する人だ」

学校の教科書と塾のテキストの英文と単語を覚え込むこと。中学校で習う英文や単語は、繰り返し練習して、読めるように、書けるようにしておくのです。これだけで中学英語は完全になります。

そして、辞書をとことん読みこなすこと。例文も必ず読むのです。辞書には、単語のニュアンス(意味・調子などの微妙な感じ)や使用法や文法的な解説が、たっぷりと書かれています。ですから、いつでもどこでもしっかりと辞書をひけば、必要な情報は手に入ります。

志緒野さんは、辞書について、「辞書だけでは、生きた英語を学べないという人もいるが、私は辞書さえあれば、日本にいても、95%ぐらいの正しい表現を学ぶことができると実感している。辞書をちゃんと読めば、ネイティブ(ある言葉を母国語として話す人)なしでも、正しい英語の発音も意味も使い方も身につく」と言っています。

「文法力をつければ、後は語彙だけの勝負で、ハイレベルな会話が可能。語学は、結局は暗記である。覚えなければ、何も始まらない」

「マイ単語帳」を作るのも効果的な学習法です。中学1年生には、課題(与えられた問題)にしています。小学3年生から6年生までは、漢字の意味調べを課題にしています。これで辞書を読む習慣を身につけてもらいたいと思っています。

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学び舎タイムズ編集部

教職歴37年。中学・高校教諭、予備校講師を経て、1996年6月に小さな個人塾を開塾しました。
「将来的に役立つ学力を身につけた子どもを育てたい」という想いから生まれた、こだわりの天然木造教室は保護者からも好評です。

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