賢い子どもに育てる8つの方法

学び舎通信 135

学力を育てる

 子どもの学力を伸ばし、賢い子どもに育てるには、家庭環境を整えることから始めます。 

目次

規則正しい生活をする

規則正しい生活をしている子どもは、計画を立て実行する力も身についています。

例えば、朝は7時に起きて、朝食は7時30分に食べ、8時に学校に出かけ、家に帰ったら30分勉強して、それから遊びに行くというような規則正しい生活をしている子どもの学力は、高い傾向にあります。

呼吸を整える

いつも穏やかな心、静かな心でいることは大切です。呼吸を整えることができれば、心もいい状態に安定します。

お臍の下5cmぐらいのところに丹田があります。ここに力を入れると健康になり、勇気が出ると言われています。この丹田に意識を集中して、おなかにある空気を全部出すようなつもりで、息を吐ききります。吐ききることができたら、吸うことを意識しなくても、空気は自然に入ってきます。丹田呼吸をすると、余分な力が抜け、心もふっとほどけて、ゆったりと整ってきます。 

この丹田呼吸(腹式呼吸)を数回行うためには、まず背筋を伸ばし、姿勢を整えなければなりません。

姿勢が整うと、呼吸が整ってきます。呼吸が整うと、心が整ってきます。

呼吸の浅い子にミスが多いです。呼吸が浅いと緊張感が高まってしまうからです。そういう子は、呼吸を深くするとミスが減ります。長くゆっくり吐き続けられない子は気が散りやすかったり、疲れやすかったりする傾向が見られます。長くゆっくりと吐くことができるということは、集中力があるということです。 

呼吸は、ゆっくり深く。深い呼吸によって身体が温まってきます。呼吸を整えると、全身の血流が25%くらいよくなるそうです。

姿勢を正しくする

姿勢を正しくすることから勉強は始まります。そして、実際それだけで成績が伸びていきます。

左手をお尻や太ももの下に入れて問題を解いている子どもは、間違いが多いです。頬杖をついたり、足を組んだりするのもよくありません。姿勢が崩れている人は、10%の力も出せていません。

基本原則は体を左右対称にすることです。両手を机の上にのせて使うほうが、脳が刺激されます。

勉強のできる人は、難しい問題が出てなかなかわからなくても、前傾姿勢(体を少し前の方に傾けた姿勢)で机に向かっています。問題を鉛筆でなぞりながら何度も読んだり、問題文を自分で書き直してみたり、前向きな努力を続けています。そうしているうちに、「なるほど!」というきっかけが見えるようになるのです。

姿勢や呼吸は、生き方と密接につながっています。

はっきりした声で挨拶する

はっきりした声で「こんにちは!」と言いながら、教室に入ってくる子ども。こちらが「こんにちは」と言って初めて「こんにちは」と返してくる子ども。「こんにちは」と言われても黙っている子ども。

挨拶は自分から大きな声でするのがいいのです。相手をきちんと見て、まず「こんにちは」と言って、その後に丁寧に頭を下げるといいです。

挨拶は、人と人とのコミュニケーションの出発点です。子どもの頃から、挨拶をきちんとする習慣をつけることによって、誰とでもコミュニケーションできる姿勢が身につきます。

挨拶ができない子どもは、他の面でもその影響が出てきます。授業中に手を挙げるか挙げないかもそうです。手を挙げるということは、先生とコミュニケーションをとるという積極的な態度です。

挨拶は学力を上げるために教えるものではありません。挨拶ができることが、将来、社会生活を送る上で、大きなプラスになります。

鉛筆を正しく持つ

鉛筆を正しく持てない子どもが、増えています。子どもたちを観察していると、鉛筆を正しく使える子どもは、使えない子どもに比べて、学力が高い傾向があることがわかります。

鉛筆の持ち方は、学習の能率に大きく影響します。正しい持ち方は、人差指と中指と親指で支え、横から見て鉛筆が45度の斜めになっている状態です。 

鉛筆を正しく持てないということは、箸を正しく使えていないということでしょう。

手の運動と脳の働きの間には、密接な関係があります。そのため、手先の器用な子どもは、頭の働きもいいということが考えられます。指先を使う習慣をつけておいたほうが、脳のためにいいと思います。

また、指先を使う作業は、子どもの集中力を養います。箸で豆をつまむ、折り紙をきれいに折る、ナイフで鉛筆を削る、綾取り遊びをする、このような作業はかなり集中力を必要とします。細かい作業のできる子どもは、計算ミスなども少なく、学力も高い場合が多いのです。折り紙を折ることが対称性の勉強になりますし、包丁でコンニャクやカステラをいろいろな形に切ってみることが立体の感覚を養います。

手先を器用に使えることが大切です。ゲーム機のボタン操作に比べれば、折り紙を折ることや綾取り遊びのほうが、はるかに高度な指先の働きを必要とします。伝承の遊びのほうが、子どもの脳の発達に良い影響を及ぼします。

本に親しむ 

本を読むか読まないかが、子どもの学力に大きく関わります。本を読むことで、漢字力、語彙力、読解力など国語の基本的な力が身につきます。これらの力はすべての勉強の基礎になります。

親が本を読まないのに、子どもに本を読ませようとしても、うまくいきません。親が本を読んでいると、子どもも本を読むようになります。 

家に本棚があり、そこには読みたい本があり、何か調べたいときは図鑑や事典が置いてある。そういう環境の中で育った子どもの学力は高いことがわかっています。「子どもは親の背中を見て育つ」と言います。子どもは、自宅の本棚に並んでいる背表紙を見て育ちます。子どもに本を読ませたいなら、親が読書を楽しんでいる姿を見せるのが一番です。

本を読んでいる子どもと本を読まない子どもでは、考える力のレベルが大きく異なります。本をたくさん読んでいる子どもの特徴として、「集中力が持続する」、「問題を整理する能力がある」、「勉強の効率がよい」が挙げられます。

本を読まない子どもは、これらの能力が養われていません。問題集を解く前に、「本読み」の習慣を身につけることが大切なのです。

自然に親しむ

虫を触れない子どもが増えていると、新聞で読みした。40年くらい前は、虫を触れない子どもは、「意気地無し」と言われたものです。

子どもの頃、宮崎駿さんの「となりのトトロ」に描かれているような風景の中を駆け回っていました。その頃は、体からあふれ出るようなエネルギーが感じられる子どもが、たくさんいました。

自然の中で、視覚・聴覚・臭覚・触覚・味覚への刺激を、小さな頃から積み重ねるといいと思います。遊園地で遊ぶより、野山にハイキングに行くほうが、子どもの心にいいと思います。土を触れば、その感触だけでなく温かさや湿り気などもわかります。草原を歩けば、植物の写真では体験できない草の萌える匂いを嗅いだり、風のそよぎを感じたりできます。森を歩けば、木の香り、鳥の歌声に体が包まれ、自然と一体になったように感じられます。

そういう体験が、学ぶ準備として重要なのです。身体感覚を伴った経験が、子どもの将来に大きな影響を与えます。美しいもの、未知なものに目を見張る感性は、自然の中で養われます。

礼儀・作法を身につける

礼儀・作法ができている子どもは、「辛くても、やらなければいけないことがある」ということを知っています。国語の長文をわかりづらいと思いながらも読み通しますし、めんどうな計算も苦労しながら練習します。礼儀・作法がきちんとできていない子どもは、「やらなければいけないこと」や「がまんしなければいけないこと」ができません。国語なら、文章が長くなってくると、最後まで読み通すことができなくなります。算数なら、少し複雑な計算になると、我慢のできない子どもは嫌になってしまいます。できないのではなく、めんどうくさいからやらないのです。そして、めんどうくさい→やらない→わからなくなる→もっと、めんどうになる、という悪循環が始まってしまいます。

甘やかされて育てられた子どもは、どこかで学力が伸び悩むことが多いようです。物を何でも買い与えてしまう、子どものわがままを認めてしまう。そういう環境で育った子どもは、努力して何かを得ようとすることはしません。いつも大人がお膳立てをしてくれますから、大人に頼ることを考えています。 

あまり大事に育てられると、自分の道を自分で切り開いていく力を身につけることができなくなってしまいます。何か目標を持って、それに向かって工夫しながら進んでいくには、努力することが必要です。

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学び舎タイムズ編集部

教職歴37年。中学・高校教諭、予備校講師を経て、1996年6月に小さな個人塾を開塾しました。
「将来的に役立つ学力を身につけた子どもを育てたい」という想いから生まれた、こだわりの天然木造教室は保護者からも好評です。

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