受験の要領 勉強のルール

学び舎通信 90

目次

受験の要領

勉強のできる人を見ていると、要領(物事のやり方のコツ)がいいのです。自分であれこれ工夫して勉強しています。試行錯誤(一つの課題に対して、失敗を重ねながらだんだんと正しい解決に達していく方法)を繰り返しながら「勉強のコツ(物事をうまくやる上で、外してはならない大事な点)」をつかんでいます。

コツは漢字で書くと「骨」です。勉強のできる人は、手間暇(労力と時間)かけて正に「勉強の骨」を探り当てています。

勉強のできる人は、勉強に相当なエネルギーを使っています。他の子がテレビを見てげらげら笑っている時も、ゲームに夢中になっている時も、一人黙々と勉強しているのです。他の子が遊んでいる時に、一人勉強するのは並大抵の努力ではできません。強い意志が必要なのです。

「勉強のコツ」をつかめるかどうかは、一生懸命に勉強することができるかどうかにかかっています。「どうしても勉強するんだ」という強い気持ちを持てるかどうかにかかっているのです。

受験勉強にも要領があります。一部を箇条書き(一つ一つの項目に分けて書きならべること)にしてみます。

  1. 自分のスタートレベルを知る。
  2. 予習と繰り返しの復習で力が伸びる。
  3. 数学は解法の手順を理解して暗記する。
  4. 国語は言葉を知ることから始める。
  5. 受験勉強は積み木ではなく、ぬり絵である。(塗り残したところに色を塗っていく=理解できていないところを理解し、暗記できていないことを暗記していく)
  6. 受験勉強は常に時間と得点の能率(勉強するのに費やした力や時間に対する効果)を考える。
  7. 受験勉強は志望校を決めた日に始まる。志望校の問題と合格最低点がわからなければ何をやるかが決まらない。
  8. 他人に流されてはいけない。ペース(調子・速度)をくずさず、着実に勉強を続ける。
  9. 過去問の練習は試験時間より5分短いタイムで、時間配分を考えながらする。
  10. 気分がめげたら、合格したあとの自分をイメージする。やり方が正しく、自分を信じて勉強を続けられれば、必ず合格できる。
  11. 模試は終わってからが重要。解答を全部復習して、できなかったところは理解して必ず覚える。
  12. 試験1ヶ月前からは、入試開始時間の3時間前に起きる習慣をつける。そうすれば、試験開始時には、脳が全開状態になる。
  13. 試験直前に確認するまとめを作ると、暗記すべき重要ポイントが見えてくる。
  14. 試験直前の一日は、スピードが倍、効率が倍、有効な勉強時間が倍になるので、8日分に使える。ペースを落とさず、勉強すれば合格できる。
  15. 試験では最初の問題から解いてはいけない。できる問題を探して、それから手をつける。

勉強の下地

下地は、物事をするための準備や基礎のことです。

勉強の下地になるのは、日常生活です。日常生活がしっかりできている人は、勉強にすっと入っていけます。しかし、夜更かししたり朝遅くまで寝ていたりして、しまりのない生活をしている人は、勉強しようとする気持ちを起こしにくいようです。また、テレビやゲームなどでだらだら時間を過ごしている人も勉強する態勢にはいりにくいようです。そんな人は、忘れ物が多かったり、宿題をしなかったり、座る姿勢が悪かったりします。学ぼうとする気持ちが弱いので、なかなか成績も伸びません。

生活には、リズムが大切なのです。てきぱき行動する習慣をつければ、頭もよく働くようになります。生活のリズムが勉強の下地になるのです。

やる気を取り戻すには

幼い子どもを見ていると、何にでも好奇心を示して、どんなことにも「どうして?」と尋ねます。とくに「がんばろう」とか「努力しなくちゃ」などと考えていません。結果的には、けっこうがんばっているし、飽きもせずに何度でも挑戦しています。小さな子どもはみんなやる気を持っているということがわかります。

つまり、やる気は「起こさせる」ものではないのです。やる気を「なくさせている原因」を取り除くべきなのです。では、「なくさせている原因」は何でしょうか?それは子どもの周りにいる大人の態度です。大人が子どもへの接し方を変えれば、子どもは本来持っているやる気を取り戻すことができます。

工夫力

生活もきちんとしているし勉強も頑張っているのに、思うように成績が上がらないという人もいます。そういう人は、勉強の工夫(よい方法はないかとあれこれ考えること)をしてみてはどうでしょうか。

例えば、計算の大変な数学の問題を出された時、いちいち計算するのが面倒だから、他に簡単でいいやり方はないかと探します。それを、先生に言われてやるのではなく、自分自身に「別の可能性を探せ」という使命を与え、簡単なやり方を考え出すのです。

ノートの整理も工夫するのです。棋士の羽生善治さんは、『簡単に、単純に考える』の対談の中で、

「将棋の場合、強い形というのは美しい形なのです。そして、美しさを感じ取ることのできる棋士は強い。ですから、私はなるべく盤上を美しくしようとデザインしていくのです」と語っています。

勉強の内容を理解できている人のノートは美しく、理解できていない人のノートは乱雑になっています。とは言え、ノートを美しくまとめることにこだわり過ぎて、肝心の学習内容が記憶に残っていないということもあります。形が整っていても中身がなければ、本末転倒(たいせつなことと、つまらないことの順が逆になること)です。理解してからまとめるのです。

勉強するうえで真面目さ、素直さは大切です。工夫する力が加われば、さらにできるようになります。

勉強のルール

中心テキストはスタンダードなものを選ぶ

みなさんが現在使っているテキスト(小学低学年のピラミッド、高学年のコア、中学生のウイニング)は、スタンダード(標準)なものです。学校の教科書より発展的な問題もありますが、頑張って解いてみるのです。テキストにある問題をすべてできるようにするのです。完全にマスター(知識や技術をすっかり身につけて、意のままに使えるようになること)できれば、公立のトップ校に合格できる学力が備わったことになります。

場所ごとに記憶する

テキストに書かれている内容を、場所ごとに記憶します。ページのどのあたりに何が書かれていたか、例えば、右下には注釈があった、左上に図があったといった具合に、写真を撮るように記憶すると、体系的(ばらばらのものを一つにまとめたもの)に覚えられます。

納得すると記憶できる

「なぜ?」を理解するためには、わからないところを先生に質問してかみ砕いた説明を聞いたり、参考書で調べたりすることも必要です。納得できると、記憶に残ります。

往復を繰り返し理解する

同じ学習内容に何度も触れると、理解度が深まります。テキストから学校の教科書、参考書へ、またはドリルやワークブックなどの問題集へと何度も往復すると、しっかり理解できます。

やりっぱなし勉強はやめる

長年子どもたちの勉強を見てきて、悲惨だと思うのは、問題の答え合わせをしないことです。やりっぱなしで終わりという人がいます。学校の試験もやりっぱなしで間違い直しをしない人がいます。これでは試験の意味がありません。「一度やってできなかった問題は、もう一度解いてできるようにする」という気持ちで取り組むのです。答え合わせを一度しただけでは、単に実力がわかるだけで、力を伸ばすことになりません。答え合わせすらしないのは論外です。

考え過ぎない、5分考えてもわからなかったら答えを見る

「自分のわからない問題を知るため」という気持ちでまず1回解いてみます。その時、わからない問題を考え過ぎないのがポイントです。目安として5分考えてもできなかったら、答えを見ます。(そばに先生がいれば先生に質問します)そこで、なぜ気づかなかったか、わからなかったかということを書き出し、時間をおいて、もう1回解いてみます。テキスト(問題集)を使いこなすには、「同じ問題を3回解いてもとがとれる」という気持ちでするのです。

質的変化の瞬間をつかむ

勉強の量をこなすと、ある時、質的変化が起こるときがあります。その時に、その教科の能力がぐっと高まり、そこから能力は落ちません。勉強のできる人は、普通の人の10倍以上練習しています。(集中力が優れているので、短時間でかなりの量をすることができるのです)勉強の能力は、練習量で決まります。「できない」「わからない」という人は練習量が足りないのです。誰でも練習量を増やせば、必ず「できた!」「わかった!」瞬間をつかむことができるのです。

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学び舎タイムズ編集部

教職歴37年。中学・高校教諭、予備校講師を経て、1996年6月に小さな個人塾を開塾しました。
「将来的に役立つ学力を身につけた子どもを育てたい」という想いから生まれた、こだわりの天然木造教室は保護者からも好評です。

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