息子の成長と私の鍛錬

目次

質問40,000回

息子が言葉を話し始めたのは、2歳6カ月になった頃でした。それまで、私たちが話しかける言葉の数々を体の中に吸収して、小さな頭で色々なことを考えていたのでしょう。小さな口から、堰を切ったように、次から次へと言葉が飛び出しました。

毎週日曜日に息子と山に登りました。風の爽やかさを感じ、木や草や石や土に触れ、獣の足音や鳥の鳴き声を聞き、花の甘い香りや森の馥郁とした匂いを嗅ぎました。たくさんの野生動物と出会い、厳しい自然の中で生きることの凄さを感じました。

山で、見たこと、聞いたこと、感じたことを不思議に思い、矢継ぎ早に質問しました。生き物の生態や気象や地質などについて訊かれたとき、その場で答えられないこともありました。問われたことをはぐらかさないで、家に帰ってから、事典や図鑑で調べました。誤魔化さずに答えることは大変でしたが、私にとって、よい勉強になりました。

子どもは2歳から5歳までの間に、40,000回質問するそうですが、息子の引切り無しの質問や不思議に驚嘆する感性に、きちんと答えようと決めました。

みなさんは、問題を考えて答えを出せないとき、どんなことでも尋ねてください。一つの疑問を解決することで、一歩前に進むことができます。

練習10,000時間

私の中学時代は、月曜日から金曜日までは6時間、土曜日は4時間の授業がありました。放課後の部活動で剣道をしていました。月曜と水曜と土曜の夜は剣道場に通っていましたから、週に3日は夕方と夜の2回剣道をしました。夜の稽古のときは、汗で濡れた剣道着や汗の染み込んだ剣道具を着用しました。

文武両道を目指しました。勉強できる時間が人より少ないので、勉強法を工夫しました。「人が時速4kmで歩くなら、僕は時速8kmで歩こう。そうすれば、人より2倍遠くまで歩ける。速さは集中力だ。集中力を2倍にすれば、2倍の勉強ができる。それに、少しの時間も無駄にしないことだ。」食事や入浴を素早く済ませ、部屋に入り、勉強に集中しました。早起きして、学校に行くまで2時間勉強しました。徹底的にしてどんな問題でも解ける自信をつけました。

中学時代のこの経験から、「大切なものは、素質よりも情熱と粘り強さだ」と実感しました。やり抜くために、①勉強や剣道を楽しみ、好奇心を持って取り組む、②目標を設定して、それを達成するための練習に励み、弱点を克服するための努力を続ける、③困難にぶつかり、不安になっても、一時的なものであると楽観的に考え、自分の道を歩み続けるための希望を持ち続ける、ということを心掛けました。

一流と呼ばれる人は、10,000時間の厳しい練習に打ち込んでいます。10,000時間と言えば、1日10時間練習に没頭したとしても3年間、1日3時間の練習なら10年間かかる時間です。何事にも一流になるには、これくらいの時間と努力が必要なのです。

素振り1,000本

学び舎を開いた頃、教育をより深く探究するため、1年間に180冊の本を読むことを目標にしました。様々な分野の読書を15年間続けました。

7年前から読書時間を減らして、月曜日から土曜日まで6時に起きて、運動を2時間しています。現在している運動は、ストレッチ・ジョギング・腹筋60回・スクワット60回・腕立て伏せ400回・四股踏み1,000回・木刀の素振り1,000回です。

日曜日は5時に起きて山に登ります。山の薫りに包まれたときの心地好さや野生動物の生きようとする懸命な姿を目の当たりにすることが山の魅力です。

いま使っている木刀は、鍛練棒と呼ばれる赤樫で作られた、重さ2kg弱、長さ115cmの八角棒です。1日に振る回数を、300回、500回、700回と徐々に増やして、3か月経った頃、1,000回振れるようになりました。初めの1か月間は、棒を振っているのか、棒に振られているのか分からない状態で、掌に肉刺ができたり、腕の筋肉が痛んだりしました。殆どの人はここで止めてしまうそうですが、諦めないで痛いのを我慢して続けました。2か月過ぎた頃、肉刺が潰れて消え、腕の痛みもなくなり、それまでと比べて、鍛練棒が軽く感じられるようになりました。

元旦の朝に故郷の剣友会の初稽古があります。今年久しぶりに参加しました。長年剣道をしていなかったのですが、毎日一人稽古で鍛練棒の素振り1,000本、四股踏み1,000回などの運動をしているので、体が自然に動きました。考え、工夫しながら、練習を数多く続けることで、体が変わります。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

学び舎タイムズ編集部

教職歴37年。中学・高校教諭、予備校講師を経て、1996年6月に小さな個人塾を開塾しました。
「将来的に役立つ学力を身につけた子どもを育てたい」という想いから生まれた、こだわりの天然木造教室は保護者からも好評です。

教室の詳細を見る
ご挨拶

リクエスト募集中!

記事のテーマを募集しています。

リクエスト募集要項
  • 勉強や子育ての悩み・相談をお気軽にお送りください
  • 学び舎代表と東大院生が紙面上にてご回答差し上げます
  • 投稿フォームよりお送りください(すべて匿名処理します)
目次