卒業生からのメッセージ 2009

学び舎通信 71

目次

卒業生からのメッセージ (50音順)

この春、11人の中学3年生が学び舎を卒業しました。高校入試が終わってからも学び舎で勉強を続けた人たちに、メッセージを書いてもらいました。

「受験を経験して」

Iさん

私は最初、高校受験なんかみんなが経験するものだから、ちょっと勉強しておけばなんとかなるものと思っていました。

でも、そんな簡単なものではありませんでした。受験する高校には、自分の学力と同じぐらいのレベルを持った人がたくさん集まってきます。ですから、ちょっとしたまちがいをすると合格することはできません。

入試までに他の人より少しでも多く勉強しておいたほうがいいです。そして、入試の時間は限られているのでいろいろな問題を速く正確に解く練習をしておいたほうがいいです。

でも勉強ばかりしていると、しんどくなるので、自分の好きなこともしたほうがいいと思います。

受験は正直しんどいし、途中でイヤになるけれど、がんばった分、合格した時の喜びは大きいので最後まであきらめずにがんばってほしいです。

塾長より
Iさんは、毎回たくさんの質問をしました。疑問に思ったことは、放っておけない人でした。理解できないことがあれば、説明を求め、納得して前進するという理想的な方法で勉強していました。

「高校受験を終えて」

Tさん

高校受験は私達の初めての大きな壁です。今まで、スムーズに進んできた進路を、これからは自分で決めなければなりません。高校受験という初めての経験を通して、わかったことは次の二つです。

一つ目は、決してまわりの人の支えなしでは乗り越えられないということです。つらい時や、あきらめてしまいそうになった時に、家族は見守ってくれ、友達は応援してくれ、先生方は心強い言葉をかけてくれました。このようなことがなければ、一人で受験勉強をがんばることはできませんでした。人の支えがあったからこそ、乗り越えることができたのだということがわかりました。

二つ目は、勉強の仕方です。中学一年の頃は、未熟で勉強の仕方がわからないという状況でした。中学二年になり、勉強の仕方がわかってきて、中学三年になれば、勉強のがんばり方を学ぶことができました。中学校とは、勉強の内容だけでなく、勉強そのものを学ぶことができる場所だと思います。小学校、中学校でたくさんの大切なことを学んできたなぁ、ということが受験を通して改めてわかりました。

この二つのことに気付き、受験を終えて私は大きく成長したと思います。今、勉強をがんばっている人、勉強はキライだった人も、目標を立てて、その目標に向かってがんばってください。きっとそのがんばりは報われると思います。

塾長より
Tさんは、いつも筆圧の強いしっかりした文字を書いていました。するべきことは必ず最後まできちんとやり遂げていました。そうすることで、自分の勉強法を見つけ出せたのです。

「受験について」

Hさん

受験勉強について、これといったアドバイスなどはありません。

ただ言えることは一つあります。それは自分のペースで勉強することです。自分のペースで、といってもなまけて勉強をしていなかったら意味はありません。真面目に授業を受けて、人に迷惑をかけないのが、たぶん受験合格への最短ルートではないでしょうか。

塾長より
Hさんは、落ち着いた調子で一歩一歩着実に勉強を進めていました。入試が終わってもその調子を変えることなく、力は伸び続けていました。進学後も、自分の世界を広げていけると思います。

「強い心」

Mくん

ぼくは受験に勝つには、強い心が必要だと思います。その力は日頃の授業やクラブ活動など生活の中で身につくものだと思います。

強い心を持ってがんばり続ければ、きっと良い結果が待っています。

Mくんは、ほとんど質問することなく難問も自分の力で理解しながら勉強していました。足が地に着いた勉強ぶりでした。この安定感は毎日のしっかりした生活の中から生まれてきたものです。

「高校受験」

Mくん

僕は高校の受験はしんどいものではないと思っていました。ですが、とても苦しかったです。なぜならずっと勉強しなければならないからです。

社会と理科は覚えるだけなので簡単でしたが、国語・数学・英語がとても勉強するのが難しかったです。でも、合格してよかったです。

Mくんは、サッカー少年でした。中3の9月半ばまでサッカーを続けて、本格的に受験勉強を始めたのはそれからでした。1月になって学力が伸び始め、念願の和泉高校に合格しました。

うれしい便り

燕が空を舞い始めたある日、一通の便りが届きました。

「桜の木々も色付き、ようやく春めいてまいりましたが、『大学に行こう』と決心して、はや一年、僕のところにも、サクラが咲きました。

この度、和歌山大学・経済学部に進学することが決まりましたので、お知らせいたします。久保先生には、度々お世話になり、又、これからも、ふらりと相談にお伺いするかもしれないですが、その時はどうぞよろしくお願いします。ありがとうございました。」

手紙を送ってくれた人は、Uさんです。今から6年前の平成15年3月に学び舎を卒業した人です。

Uさんが学び舎で勉強を始めたのは、中学2年の3学期の中頃でした。落ち着いて心の強そうな人でした。Uさんは高校1年生のときに、後輩たちにメッセージを書いてくれました。

「私は中学時代、特に暗記系に重点をおきました。

数学なども実は暗記系です。公式を憶えて、あとはそれが脳にしみつくまで練習です。

社会や理科は90%ぐらいが教わらなければ、わからないことなので、授業は大切にする。

そして、英語と国語は慣れです。できるだけ多くそのことに触れてください。

でも勉強する前に、自分は何がしたいのか。例えば何処の高校に行きたいのかをはっきりわかっているとがんばりやすいです。

先生とか両親に言われるだけでなく、できるだけ自分の意志で未来を決めてみてください。

私は勉強が好きではありません。でも、学校で放課後に友達と楽しく勉強するのは好きでした。

人間の脳は嫌なことをするより楽しいことをよく憶えているそうです。

友達と楽しく学んでください。不思議なことに学力はどんどん向上します。

私は3年の後半は学校に残って社会ばかり勉強していました。楽しかったぁ。それまで平均40点だったのが、100点までとれるようになりました。他のテストもぐんぐん向上しましたよ。

自分のために知ることを忘れないで、知らないことを知る、ということをしてみてください。」

Uくんは、すでに思春期を脱皮しているような人です。自分の進む道を開拓していく力を持っています。謙虚で思慮深い人です。

学び舎通信2003年10月号より

6年前の合格発表の日の夕刻、学生服姿のUさんが「先生、佐野高校に合格しました。ありがとうございました。」と学び舎に立ち寄ってくれました。

その時の律儀な姿は今も忘れられません。

高校の3年間は、自転車で通学していたそうです。登山部に入ってあちこちの山に登っていることも聞きました。

高校卒業後、音楽関係の専門学校に進みましたが、自分の思い描いていたものとは違ったため、数か月で自主退学しました。その後、専門学校にかかった費用を両親に返すため、寿司店で働き始めます。Uさんの誠実さがそうさせたのでしょう。

寿司店で働きながら、「自分は何をしたいのか」を考え続けていたのだと思います。

1年ほど前、「大学を受験するために勉強を始める」ということを聞きました。高校を卒業して2年間勉強らしい勉強はほとんどしてなかったはずです。この1年間の受験勉強は辛かったと思います。いや、苦しみを楽しみに変えながら勉強していたかもしれません。

それにしても、「自分の意志で未来を決めた」Uさんの心は強かった。予備校にも通わず、自分ひとりで自分の道を切り拓いたのです。

高校受験や大学受験は点数が合否を決めます。しかし、人間そのものに点数をつけることはできません。点数で測れない力を育んでいたのです。

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学び舎タイムズ編集部

教職歴37年。中学・高校教諭、予備校講師を経て、1996年6月に小さな個人塾を開塾しました。
「将来的に役立つ学力を身につけた子どもを育てたい」という想いから生まれた、こだわりの天然木造教室は保護者からも好評です。

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