卒業生からのメッセージ 2017 命が集うアルマス
学び舎通信 169
命が集うアルマス
この地に移り住んで学び舎を開いたのは、1996年6月です。庭木を植木屋で買ったり、芽生えたばかりの苗木を山から移植したり、野鳥の糞に混じった種が生長したりして、木は年々増え続けました。
昆虫好きの息子が小学校に入学した頃、『昆虫記』を書いたファーブルの庭に因んで、学び舎の庭を「アルマス」と名づけました。プロヴァンス語で「荒地」という意味です。桂の板に「HARMAS」と彫刻刀で彫って標札を作り、庭に掲げました。
やがて、学び舎の庭アルマスは雑木の小さな森になりました。木々は芳香を放ち、セミが鳴き、チョウやトンボが飛び交い、コオロギやバッタが跳ね廻り、ハナムグリやカナブンやカミキリムシなどの甲虫が樹液や花の蜜を求めて、アルマスに集いました。
それから、留鳥や候鳥が訪れ、ヤマバトは営巣して雛を育てました。タヌキやイタチが塒を作り、カエルやトカゲが棲み付きました。アルマスは生き物たちの楽園となり、多くの命が共生していました。
しかし、毛虫が大発生したり、落ち葉が隣家に舞い散ったりすることもあって、クヌギ・コナラ・マツ・ヤマザクラ・フジ・ネムノキ・カキ・ビワ・モモ・ミカン・ウメ・ハギ・カエデ・アジサイ・シラカシ・ナンテンなどを根こそぎにすることにしました。
木は根によって立つ
山の木は樹勢が強く、生長が早いです。特に大きく育ったのは、コナラ・クヌギ・ネムノキ・ヤマザクラです。幹の根元の直径は30cmもありました。
職人の使うノコギリ・ツルハシ・スコップ・ナタを使い、汗にまみれて、木と向き合いました。8m近く伸びた木に梯子を立て掛け、木に攀じ登って、上の方から切っていきました。細い枝はナタで払い、太い枝や幹はノコギリで伐り、根はツルハシとスコップで掘り起こしノコギリで伐りました。
木にも命があり、呼吸しています。木は伐られても何も言いませんでしたが、私の理不尽な行為に、怒っていたでしょう、泣いていたでしょう。「すまない」と詫びながら、木に刃を当てました。伐った木は、乾かして荼毘に付しました。2015年秋に木を抜き取り始めて、2017年春に木の弔いを終えました。
幹が太く見事な枝振りの大木は、頑丈な根を土の中の奥深くまで縦横無尽に張り巡らせていました。木は根によって立つ。されど、根は人の目に触れず。人間を支える根は、強い心組みです。物事を最後までやり遂げようとする気力を根気と言い、困難に立ち向かう強い精神力を根性と言います。
学び舎でよかった
西信達中 Fさん
私は中学1年生から3年生までの3年間、学び舎に通っていました。学び舎は、とてもいい雰囲気で、勉強に集中できるいい所です。バレー部に所属していた私は、クラブ活動が停止になるテスト1週間前から、必ず学び舎に自習をしに行きました。
高校入試が近づいた12月の五ツ木の模擬テストの結果は、それまで受けた模擬テストの中で最低でした。志望校を変えなければならないくらいのレベルまで下がってしまったのです。今までに経験したことのないくらい気持ちが落ち込んで、「志望校を諦めようか」と思いました。
でも、やっぱり志望校を諦めきれなくて、「毎日、学び舎に自習に行って、力をつけよう」と決めました。学校が終わった後、すぐ学び舎に行きました。
私は数学が苦手だったので、数学のテキストにある問題を何度も繰り返し解きました。そして、理解できないところを久保先生に質問して、説明してもらいました。
公民館の自習室で勉強したこともあります。そこで勉強していて分からなかった問題は、印を付けて置いて、学び舎で久保先生に質問しました。
そういうことを1ヶ月間続けて、1月に最後の五ツ木の模擬テストを受けました。志望校はA判定でした。そのとき、私は「諦めないで、頑張ってよかった」と思いました。
それから、2か月後の入試当日まで、私は何度も自信をなくすことがありました。でも、その度に、いつも、久保先生は「自信を持ってください」とか「この調子です」と言ってくれました。その言葉が励みになって、自信を持って入試本番を迎えることができました。
入試当日は、「学び舎の入試心得」をお守りにして持って行きました。このお守りが役に立ちました。
合格発表の日、合格したことを一番に連絡したのは、久保先生でした。先生には本当に感謝しています。