卒業生からのメッセージ 2022 自律的な学び
自律的な学び
ある塾では1問当たりにかける最大時間を、中学受験で3分、高校受験で10分、大学受験で30分と決めています。解けないならその問題は捨てろと言われています。しかし、普段からそのような勉強をさせられていると、問題にじっくり取り組む習慣が身につかず、長時間集中して考える力を養えません。
試験で良い点数を獲得するためには、限られた時間内で、できる限り多くの正解にたどり着く能力が必要です。このような能力に秀でている人は、試験での偏差値が高くなります。しかし、偏差値の高い人が、学問の世界で新たな発見を遂げたり、実社会に出て独創的な仕事をしたり、指導力を発揮したりできるわけではありません。発想力や創造力や指導力は、試験の成績で判断することはできません。
勉強は、自分の立てた規律に従って自らを規制しながら、こつこつ努力することが肝要です。意志が弱く、他からの命令や支配によってでしか勉強できない人は、進学塾に通って詰め込み主義の勉強をさせられることになります。創造性豊かな人は、がりがり勉強するのではなく、心に余裕を持って勉強しています。自分で学習計画を立てて、自律して勉強しています。自律して考えられる人は、正解のない人生の問題にじっくり取り組んだり、複雑な実社会の課題に独自の考えで立ち向かったりします。
生きる軸
過度な受験勉強は、創造性を妨げる先入観、思考をパターン化し一通りに決まった正解が存在するという固定観念を植え付けて、子どもから正解のない問題に取り組む勇気と想像力を奪ってしまいます。
親や教師が闘志をむき出しにして、子どもに心理的な負担をかけ、果てしない受験競争に追い込んではいけません。「夢を実現することや目標を達成することが重要なのだ」と教えることが本当の教育です。
子どもはそれぞれ持って生まれた能力が違います。だからこそ、一人ひとりの子どもが持つ能力を見つけて、それを伸ばしてあげることが大切なのです。短所を是正しようとするのではなく、長所を伸ばすことで、子どもはやりがいを感じることができます。
序列を気にしている限り、満足感は相対的なものになります。人と比べて生きている限り、生きがいは感じられません。自分の視点ではなく、他人の評価を気にして他人の視点で行動するようになります。
戦後の日本は詰め込み式教育によって、自分の頭で考えない人をたくさん作り出しました。言われたことを言われた通りにする人間が優秀な人間であると、学校でしつけられました。自分の頭で考えない、疑わない、応用しない、指示待ち、そういう性質を持つ人たちは、命令に唯々諾々として従います。
そうではなく、自分の軸を持つことが大切です。生きるための中心になるものは、自分で考え、育て、持つものです。誰かに求めるものではありません。
自分は生きる軸をどこに置くのか。それを毎日の自律的な学びを通して考えるといいです。
学び舎で学んだこと
Kさん
学び舎はとても居心地良く感じられました。久保先生が優しく丁寧に教えてくれたので、安心して学べました。私は勉強が大好きではなく、特別できるのでもなかったので、解けない問題があり困ることもありました。でも、久保先生に質問して、教えてもらうことで理解することができました。久保先生は、私が遅刻したり欠席したりしたときも、怒るのではなく、理由を聞いてくれたのが嬉しかったです。
勉強が得意ではない私が落ち着いて勉強できる環境をつくってくれ、学ぶことの楽しさを教えてくれた久保先生に、感謝の気持ちでいっぱいです。
3年になると、自分の好きなことが学べて、自分の学力に合う高校を探しました。自分の通う高校なので、自分で見つけて決めたいと思いました。受験勉強の途中で成績が下がった時もありましたが、気持ちを落ち着けて目標に向かって勉強を続けていると、自信ができて、第一志望の高校に合格できました。
受験を通して二つのことを学びました。一つ目は、目標を持ち、それに向かって努力すること。これを実行したことで、特別にたくさん勉強することも焦ることもありませんでした。二つ目は、人の意見を受け入れ、自分で考えて、自分の意志を強く持ち、貫くこと。これをすると、「成功しても失敗しても自分の決めたことだから納得できる」と思いました。
学んだことを忘れず大切にして、自分の信じた道を選び取っていこうと思います。学び舎では、勉強だけではなく、これからの人生において大切なことも学ばせてもらいました。ありがとうございます。