卒業生からのメッセージ 2022 良い教育とは
頭が良いとは
世間では、学校の成績が優秀であったり、試験で高得点を挙げたりする人を「頭が良い」と言います。しかし、それは試験の問題を解く能力が優れているだけであって、学校のテストでは、本当の頭の良さや考える力はほんの一部しか測ることができません。
相対性理論を発表し、20世紀最大の物理学者と言われたアインシュタインは、一人遊びを好む無口でおとなしい子どもでした。小学校では同級生から仲間はずれにされ、高校では友達がおらず先生に嫌われ中途退学しました。大学受験に一度失敗し、入学後に物理学者を志しましたが、教授から「才能がない」と烙印を押され、助手として大学に残ることができませんでした。就職も苦労しました。友人の縁故で特許局に勤めるまでは、臨時教員や家庭教師をして生計を立てました。普通の人でしたらこの時点で大学教授になることは断念しますが、アインシュタインは挫けずに研究を続けました。
アインシュタインには、多くの人が諦めてしまうような困難な状況に直面しても、弱音を吐かずに最後までやり遂げようとする力がありました。一つのことを長い時間をかけて深く考え続ける力があり、本当の意味での頭の良い人でした。1922年にノーベル物理学賞を受賞し、1955年に核兵器廃絶・科学技術の平和利用を訴えた宣言をしました。
良い教育とは
みんなが助け合って、みんなが良くなるように、みんなのために自分は頑張ろうと思う人を育てるのが教育であると思います。みんなが幸福になるためには自分はどうしたらいいかということを一人ひとりが考えるのですから必ず幸福な世の中になります。
ドイツの哲学者、カントは、「世界のすべての善事の源は良い教育だ」と言っています。その反対に、世界のすべての悪事の源は悪い教育です。
子どもたちを競わせて、「人を押しのけて自分が先に立とう」という考えを起こさせるような教育は、根本的に間違っています。良い教育とは、知識を教えるだけではなく、「人間にとって何が善で何が悪か。人間として何をなすべきで何をなすべきでないか。人間の生きる意味というのはどういうものか」について、子どもたちと一緒に考えることだと思います。 善いことを考える子どもの心は純真で、人の悪口を言ったり、人を苦しめたり、いじめたりしません。
自然の成り行きに任せた教育をしていれば、子どもは「勉強するのは楽しいことだ」とわかります。
本当に善いもの、必要なものを知る勉強をしていれば、この世の中で出世したり、偉くなったり、お金をたくさん儲けたり、有名になったり、権力を握ったりするというような世界と無縁な生き方ができます。そして、「『人間にとっての真実なものは何か、人間にとっての本当の幸福は何か』ということを探求するためには、立身出世を考えてはいけない。見た目の格好の良さよりももっと大事なものがある」ということに気づきます。
学び舎に通い始めて
Tさん
私が学び舎に通い始めたのは、中学2年生の4月でした。新型コロナウイルスの影響で全国の学校が休校になり、塾に行って勉強をしたいと思ったのがきっかけでした。塾に通うのは初めてでしたので緊張しましたが、先生が丁寧に教えてくださったのですぐに馴染めました。勉強だけではなく生活の仕方も話して頂き、多くのことを吸収できました。
1ヵ月に1回配られる「学び舎通信」の勉強のアドバイスが刺激になり、意欲が湧きました。授業の後に書く「学習の記録」は先生と二人で話せる良い機会でした。「学び舎で何気なくしていたことで、成長していったのかな」と思います。定期テストの点数や授業の始めに出すノートを見ても、先生は何も言いませんでした。そのことが不思議でしたが、学び舎に通い始めて成績が少しずつ上がっていきました。
中学3年になると、受験や進路について悩みました。先生は決して厳しいことは言わず、優しく、サポートやアドバイスをしてくださいました。私は久保先生がおっしゃったことを少しずつ実践しました。進路について先生があまり言わなかったので、負担にならず、力を伸ばすことができて良かったです。
私は「勉強する塾が学び舎で良かった」と思います。久保先生が厳しく言わず、優しく、「学ぼう」と思わせてくれたので、勉強へのやる気が増しました。
「『自分で勉強しよう』と思うからこそ、学力が上がる」ことが学び舎に来てわかりました。2年間学び舎で学べて本当に良かったです。久保先生にはとても感謝しています。ありがとうございました。