私の教育 頭が丈夫な人を育てる

学び舎通信 150

目次

わたしの教育

学校の教師を辞め学習塾を開こうと思ったのは、30歳のときでした。予備校や進学塾で3年間教え、34歳のときに学び舎を創設しました。

予備校や進学塾で出会った子どもたちは、素直でしたがどこか軟弱でした。自分で考えて学ぼうとせず、ロボットのように講師の言いなりになっていました。講師たちは気概や気骨というものがなく、飼い犬のように会社の指示に従順でした。成績と進学のことだけにしか関心がない保護者たちは、会社の策略どおりに操られていました。このようなシステムでは、進学塾という会社は成長しても、子どもの自立心は成長することはありません。

学び舎で自立した自由に生きる子どもに育てるために、次の点に留意しています。

《子ども自身が自分で考えようとし、自分のやり方を見つけ出していく。いちいち細かいことには口出しせず、子どもに自分で試行錯誤させる。手助けするのは簡単だが、控えめにして、子どもに自分でつかませようとする。子どもが自立する過程においては、厳しさや距離感が役に立つ。言葉少なに語ったことや普段の行動が子どもに大きな影響力をもつ。いちいち手出ししない方が、子どもとしては自分を発揮しやすい面がある。》

わたしの生活

携帯電話を持っていません。テレビを見ません。パソコンは仕事以外に使いません。インターネットもほとんど見ません。車は1台あります(少し離れた所に駐車場を借りています)。知らない所に行くときは、カーナビではなく地図を頼りにします。道に迷ったときは、土地の人に尋ねると親切に教えてくれます。普段の交通手段は自転車です。25年間乗っているので、タイヤは3回交換しました。

外食はあまりしません。自動販売機もコンビニも利用しません。インスタント食品や冷凍食品を食べないようにしています。煙草を吸いません。お酒もほとんど飲みません。

カラオケやボーリングやパチンコや映画館に行きません。USJやディズニーランドや関西国際空港にも行ったことがありません。

月曜日から土曜日までは6時ころ起きて、ウオーキング・ストレッチング・腕立て伏せ・腹筋・四股踏み・竹刀の素振りをします。日曜日は1時間早く起きて山に行き、20kmの山道を4時間で歩きます。

心が命令して体が動くのではなく、体を動かすことによって、心が変わります。それまでしていなかった動作をすると、それまで存在しなかった心が現れます。規則正しい生活習慣をしていれば、まじめに一生懸命に励もうとする心が生まれます。やるべきことをしないで、なまけていては、勤勉な心は生まれません。自分自身の中に、自分の知らないものがあります。だから、ていねいに自分自身とかかわらないといけません。

「頭が丈夫」な子どもを育てる

「頭がいい」のと「頭が丈夫」なのは違います。知識があり頭の回転の速いだけの頭がいい人はいます。

また、子どもにテストの点数を競わせることを学習の動機づけに使う教師がいます。しかし、自分の学力を自分の利益のために利用する子どもを育てることは、教育ではありません。

弱い者を助ける思いやりのある人間を育てることが、教育の目的です。出世も名声も考えず、ひたすら教育の研究に没頭することが、本来の教師の姿です。でも、こういう教師は少ないです。

頭がいいだけの人には興味がありません。私が人を見るときの基準は、学歴や社会的地位や年収などの外形的なものではありません。

人間の価値を決めるのは、ぎりぎりの局面で、人として信じられるかどうかです。一度約束したことは守り通す。最悪の状況のときでも、浮足立たず、不機嫌にならず、絶望せず、仲間を決して置き去りにせず、自分の果たすべき仕事をきちんと果たす。こういうことができる人は、頭が丈夫な人です。

頭が丈夫な人は、適切なときに、適切な場所で、適切なふるまいをすることができます。用のあるところで果たすべきことを行い、用のないところには行きません。人が大勢集まっているところに行くより、誰もいないところに行ったほうが楽しいし、世の中の役に立てることを知っています。 所詮、学び方や生き方は、人から手取り足取りして教えてもらうものではなく、自分で模索してつかみ取るしかないのです。

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学び舎タイムズ編集部

教職歴37年。中学・高校教諭、予備校講師を経て、1996年6月に小さな個人塾を開塾しました。
「将来的に役立つ学力を身につけた子どもを育てたい」という想いから生まれた、こだわりの天然木造教室は保護者からも好評です。

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