なぜ勉強するのか? 自分を変えるには?
学び舎通信 107
はじめに
皆さん、こんにちは。
灘高等学校2年生のHです(灘高は兵庫県神戸市東灘区にあります。片道2時間を毎日頑張って通学しています)。Hっていうのは僕のペンネームです。
この‘学び舎通信’には、昨年の6月から執筆に参加させていただいております。僕のことをご存知の方も多くいらっしゃると思いますが、これからもよろしくお願いします。
僕が今まで勉強してきた体験を通して、できる限り皆さんの役に立つようなことを書いていきます。主な内容は、効果的な勉強法や成績の上げ方、その他これからの生活に役立つであろうことなどです。また、やわらかい読み物として僕の中学生時代の話も少しずつ書いていきます(紙面の都合上、今回はありません)。それでは、本題に参りましょうか。
なぜ、勉強するのか?
これは、なかなか難しい問いであり、人によって意見が大きく分かれるので、じっくりと考える必要がありそうです。
というのも、実際に全く勉強していなくても生きていくことは可能だからです。また、高校受験や大学受験には英語や数学は非常に大事ですが、難しい数学や英語を習っていないからといって、日常生活においてなんら支障をきたすこともありません。
先生や親が「勉強しなさい」とやかましく言うから、受験に必要だから、というだけで勉強するのは非常にもったいない気がします。
僕は、勉強することの意味は、もっと違うところにあると思うのです。
「テストの点数を上げるため」にだけ勉強しているから、テストが終われば勉強は終わり。「学校の成績を上げるため」にだけ勉強しているから、学校を卒業すれば勉強は終わり。「入学試験に合格するため」にだけ勉強しているから、受験がすめば勉強は終わり。と、考えている人がけっこう多いのです。
「なぜ、勉強するのか?」
皆さん、もう一度よく考えてみてください。
勉強すれば、今まで知らなかったことを「知る」ようになりますね。英語を勉強すれば、英語という言葉を「知る」ようになる。歴史を勉強すれば、過去にあった出来事を「知る」ようになる。
というふうに、勉強すればいろいろなことを「知る」ようになるのです。
いろいろなことを「知る」ことで自分自身が変わったことに気づきませんか?「知る」ことによって、今までとは違った考え方ができるようになったはずです。「知る」ことによって、ものごとを深く考えられるようになったはずです。
僕は「『考える力』をつけるために勉強しているのだ」と思っています。「広い知識を身につけることによって養われる心の豊かさ」を「‘教養(culture)’」と言いますが、僕は「『教養』を高めるために勉強しているのだ」と思っています。
今のうちにやっておきたいこと
桜の花の香りが漂う中、新たな学年に進級し、皆さんは希望に満ち溢れていることでしょう。
今のうちに何をやっておくといいのでしょうか?そこで、参考として僕の方から少し話をしましょう。
まず、僕が「数学オリンピック」に向けて勉強しているときに読んだ『数学オリンピック教室』という本から引用します。
「……常に自分で問題に挑戦してゆくと、いつも歩いている足に自然に筋肉がつくように、考える力が頭脳についてくるのです。しかも、中学・高校生時代に自分で問題に挑戦すると、体の成長に合わせるようにドンドンと考える力は成長してゆくものなのです。ですから、この好時期に数学オリンピック問題に挑戦して、たくましい、そして永続性のある考える力を我がものとして下さい。そうすれば、将来の大きな発見、発明など(何も数学や自然科学に限る必要はありません)につながると私は信じています。そしてこの宝物を、世界の、日本の、そして貴方の幸せのために大いに役立てて下さい。」
‘数学オリンピック問題に挑戦して’という部分を‘いろいろな問題に挑戦して’と替えれば、誰にでも当てはまるのではないでしょうか。
つまり、今のうちに自分から積極的に学ぶ癖をつけておくと、学生時代にとどまらず大人になってからも立派な人生を歩めるということです。さらに、今勉強することで将来の自分が幸せになるばかりでなく、日本そして世界の発展にもつながるということです。要は、‘受身ではなく能動的に学ぼう!’‘自分から進んで勉強しよう!’ということです。
小・中学生アンケートの実施について
只今アンケートの実施を検討中です。主催者は僕(H)です。アンケート調査結果の一部は僕の考察とともにこの学び舎通信に載せようと思っております。主な目的は、生活習慣などと学力との相関関係を調べることです。
(H君の記事はここまでです)
英語の勉強方法
4月から英語を勉強し始める人がいますね。また、「今まで何年間か英語を勉強してきたんだけれど、もっと英語力をつけるにはどのような勉強をすればいいのだろう」と思っている人もいると思います。
英語の学習法について今までに何度か「学び舎通信」に書いたことがありますが、もう一度書きます。
英語の勉強は他の教科とは少し異なります。というのは、英語は理解しただけでは終わらない教科だからです。英語の授業を一生懸命聞いて、きれいにノートを取って「わかった」と思っても、それで終わりではありません。他の教科と異なり、英語は「理解した」ところで終わるのではなく、「使えるようになる」ことが最終目標だからです。
しかし、「理解した」から「使えるようになる」までの間には、大きな距離があります。「使えるようになる」ためには、さまざまな練習をしなくてはなりません。「使えるようになる」ための英語の勉強は、スポーツや楽器の練習に似ています。ピアノが弾けるようになるためには毎日の地道な練習が必要ですが、英語も同じです。
単語や熟語の意味を覚える、英文を読んで理解できる、というのは英語の勉強のスタート地点なのです。この段階で満足するのではなく、次の「基本練習」に進むのです。
英語の「基本練習」は、①精聴、②音読、③暗唱、④書き取りです。
実際に使えるようになるためには、
①ネイティヴの音声を何度も聴く
②音読や暗唱を何度も繰り返す
③暗唱した英文を書き出す(暗写)
④英語の音声を聴いて書き取る(ディクテーション)
⑤日本語を英語に書き直す
といった地道な練習を繰り返すことで、ようやく英語が「使えるようになる」のです。この地道なトレーニングを、できるだけ早いうちに毎日の習慣にするといいのです。
記憶力を鍛える
「わたしは覚えるのが苦手なんです」と言う人がいます。そういう人の勉強の仕方を聞くと、「覚えるのが苦手」なのではなくて、「覚えるための練習量が足りないのだ」ということがわかります。覚えるために練習はしているのですが、練習量が少ないのです。完全に覚えきるまで練習していないのです。
記憶力は練習することで強くすることができます。記憶力を鍛えるためには、①先生の話をよく聞く、②時間を限定して覚えることに集中する、③声に出したり、紙に書いたりして覚える、④覚えたものはその日のうちに目を閉じて声に出して復習する。この4つの作業を実行すれば、記憶力は強くなります。
今年度、学び舎の学習プログラムを一新します。テキストも新しくなります。記憶力を鍛え、思考力を鍛え、身体の中にある力を出す練習をします。
自分を変えるには
大学の入学試験に合格することができず、1年間浪人して、ある大学の英語学科に入学したYさんという人がいます。大学に入学したものの、英語で行われる授業がまったく理解できず、落ちこぼれてすっかりやる気をなくしていました。おまけに、クラスメートには帰国子女の学生が多く、その人たちにくらべて英語ができないことに劣等感も抱きました。
20歳のとき、Yさんはアメリカ旅行を決意しました。「アメリカに行ったら何かが起きて、ダメな自分を変えられるかな」と、思ったのです。
旅行中に、ドイツ人の夫婦と知り合って話をしていたところ、彼らが「グランドキャニオンを見れば人生が変わるよ」と言いました。「自分を変えたい」と思っていたYさんは、ドイツ人夫婦と一緒にレンタカーを借りて、グランドキャニオンに向けてドライブをしました。グランドキャニオンの壮大な景色が目の前に広がりました。絶景でした。
しかし、それで人生が変わったかというと、まったく変わりませんでした。何も起こりませんでした。
その時にYさんは気がつきました。「自分の人生を変えるのはグランドキャニオンじゃない。自分自身だ。何かに依存していては何も変わらないのだ」と。
それまで、Yさんは、自分を変えてくれる何かが現れるのを待っていました。その考え方自体が間違っていたのです。
「待っていても何も変わらない。自分で自分自身を変えようとしない限り、人生は絶対に変わらない」ということを、その時、Yさんは悟ったのです。